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BOOK REVIEW vol.014 世の中と足並みがそろわない
今回のブックレビューは、ふかわりょうさんの『世の中と足並みがそろわない』です!
ふかわさんのエッセイを購入したきっかけは、以前ネットで読んだふかわさん執筆の記事がとても面白かったから。ふかわりょうさんと言えば、お笑い芸人さん。文章を書かれるイメージはあまりなかったけれど、その時の記事がとても読みやすく多才な方だなぁと驚いたので、Amazonでふかわさんのエッセイをポチっとした。タイトルは『世の中と足並みがそろわない』。何冊かある中でこのタイトルにとても共感したので迷わず選んだ。
文中で際立つのはふかわさんの繊細さ。本の帯には『ふかわりょうの、不器用すぎる歪な日常』とあるけれど、不器用というより繊細な方だということが伝わってくる。タイトルも然りエッセイの内容も、全てではないにしても共感することが多く「分かるなぁ…」と頷きながら読んだ。
ご両親と湯河原に旅行に行った話も、タモリさんの話も、ポルトガルを一人旅した時の話も良かった。特にご両親をとても大事にされていること、ふかわさんがピアノ、お父さんがバイオリンで、自宅で親子セッションする場面には、思わずほっこり。エッセイ自体は世の中への疑問(?)がユーモラスに描かれているけれど、ほっこりエピソードも意外に多く、ふかわさんの新たな一面が知ることができる。
中でも印象的だったのは「隙の効用」というエッセイの一節。
隙だらけでもダメですが、隙がなくては愛されない。隙は人間らしさ。私の周りは魅力的な「隙」を持っている人ばかりです。
「隙」を見せないどころか、むしろ「隙」を埋めようとするので。でも、本当は違うのです。みんなに見せたいのです、たくさんの「隙」を。もっと弱い部分を見せたい。なのに、見せ方がわからない。甘え方がわからない。私の「隙」は、どこにありますか。
ふかわさんは「隙」という言葉を使われているけれど、これは最近yujiさんが話されていたポンコツの話に通じるなと思いながら読んだ。しかも私はふかわさんと同じ「隙」を埋めようとするタイプ。本当は弱い部分も見せたいのに見せ方がわからない、甘え方もわからない。
22話ある中で、まさか一番最後のエッセイの一節にグハッとくるとは。ふかわさんはそんなつもりで書かれたわけじゃないと思うけれど、あらためて「目を背けないように」と忠告されたような気がする。
今まで「世の中と足並みをそろえよう」と必死だったけれど、無理に足並みをそろえようとするから「隙」がなくなっていくのかもしれないな。ふかわさんもエッセイの中で、自分が苦手なことやできないことを正直に書かれていて、私はそれをふかわさんの魅力的な「隙」だと感じた。
世の中と足並みがそろわなくたって良いじゃない。私もいい加減、そんな自分を許して「隙」を見せていきたいと思った。
ポンコツについて書いた記事はこちら↓(もう一回読み直そう…)
“ちゃんとしなきゃ”を卒業したいと書いた記事はこちら↓(こっちも読み直そう…)
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