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ニッポン・スウィングタイムふたたび ①

新譜発売のお知らせ

先の『ニッポン・スウィングタイム vol.1』より早くも3年を閲して、
このたび『ニッポン・スウィングタイム vol.2』を発売する運びとなりました。
この間、ビクターエンタテインメントの商号もマイナーチェンジがありまして、
ビクター・ブランドの復活を期したビクターエンタテインメント株式会社からの発売と相成ります。

ニッポン・スウィングタイムの特色

今回のアンソロジーは初CD化が実に19曲、そのうち6曲は初復刻曲です。
これは最初から意識して初物を投入したわけではなく、あとで集計して出てきた数字です。

選曲に当たっては過去の先輩アルバムを改めて検討し、そこに新たな視点と感覚を加えました。
ここでビクターエンタテインメントの戦前ジャズの復刻事情について述べると、
1976年に発売された野口久光・瀬川昌久監修による10枚組のLP『日本のジャズ・ポピュラー史 (戦前編)』でジャズソングを中心としてタンゴ・ルンバなどのラテン音楽やインスト・ジャズも含めた決定的な全集が作られました。
その後、2000年前後に故瀬川昌久監修のセットが何篇か編まれていますが、内容的には先のLPセットの組み直しです。
しっかり分類された『日本のジャズ・ポピュラー史 (戦前編)』があってこその「ビクターのジャズ・ポピュラー史」でした。

2021年に『ニッポン・スウィングタイム vol.1』を編むときには当然、上記のアルバム群を参考にしましたが、
CDというのはLP的な面ごとのパッキリした分類には不向きな媒体であることから、根本的に選曲の視点を変えました。
1976年のアンソロジーは完璧ではありますが、あれをそのままつないでも良いCDにはなり得ません。
まったく異なる視点への切り替えが必要でした。その視点が「スウィングタイム」「スウィング・エラ」の概念です。

vol.2はどんなアルバムに?

vol.2 では過去のアンソロジーからの積み残しよりも、現代的にみて面白いと思えるテイクを既復刻・未復刻の音源から選びました。
とりわけ今回、大切にしたのがスウィングのフィーリングです。
スウィングとなればどうしても昭和10年前後というイメージです。
そこで思い切って昭和初期はほんとうに必要なテイクにとどめ、昭和10年代をメインに編みました。

今回のアンソロジーの一大特徴として、インストゥルメンタルのジャズを可能なかぎり収録しました。
過去の経験から、戦前のインスト・ジャズはまったく評価されないかむしろ貶されるものとほぞを噛んできました。
テイチクのインスト・ジャズのamazonレビューなど実に独りよがりな自論展開で非道いものです。
しかし一方で現代のジャズメンたちに戦前のインスト・ジャズが熱く支持されたのも事実です。
時代を大きく隔てたジャズへの彼らの共感にたいへん助けられました。

今回は保利プロデューサーからGOサインが出たので、くどくならないギリギリの線でインスト物を選びました。
欲を言えばキリがありませんが、全2枚24曲、最高の選曲が出来たと自負しています。  (つづく)


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