奨学金を借りる前に考えてみてほしいこと
時々、奨学金返済に苦しむ若者のニュースを目にする。
私も大学進学時に奨学金を借りたので、そういうニュースはちょっと気になって見てしまう。
お金はないけど大学に行きたい=奨学金を借りればいい、と思っている人がいるなら、ちょっと立ち止まって考えてみてほしい。
奨学金、って呼ぶとなぜかいっきにハードルが下がるけれど、奨学金って借金ですからね。
お金はないけど大学に行きたい=借金すればいい?
え、借金…?って思いませんか。
その感覚を、まずは大事にしてほしいです。
私が目にした奨学金に苦しむ若者たちは、「都心に出てひとり暮らし」していたり「私立大学に進学」したりしていました。
なぜか?学びたい学科がそこにしかなかったから、やりたいことをやるにはそこに行くしかなかったから、という声が多かったように思います。
真っ当ですよね。
若者が言うと尚更真っ当に聞こえる。
でも、私は思うんです。奨学金をもらわないと大学に行けないような家庭に生まれ育って、何でそんなお金持ちの子どものようなことを言うのだろう、と。
私自身、経済的に裕福でない家庭に生まれ育ちました。
両親は共に高卒です。
両親は私が生まれた時、自分たちの子どもが大学に行くとは思っていなかったそうです。
だからだんだん子どもが育ってきて、どうしてかわからないけど結構勉強ができて、先生からも大学に行く前提で話をされ始めて、両親は焦ったと思います。
お金、足りるかな?と。
そういうわけで、私は実家から通える距離の国公立大学にしか行かせられない、と早いうちから両親に言われていました。
何を学びたいとかやりたいとか、そんなことより大学に行くには国公立大学しか行けないので、とにかく勉強しました。
塾には行けなかったし、私立大学を受験することすらできませんでした。
二次試験後期は、滑り止めにするために本命の前期より2ランクほど偏差値の低い大学を選びました。
自分より成績のよくない同級生が、名のある東京の私立大学に受かっていく。
私立大学よりも国公立大学のが全教科的な成績のよさを求められるので、国公立大学を目指す私には成績のよくない教科を切り捨てられない苦しさがずっと付きまとっていました。
そして結局、前期で受けた本命の大学は落ち、後期で受けた本命より2ランクほど偏差値の低い大学に通うことになりました。(但し、数年後に本命の大学に3年次編入学しました。執念!)
実家から通える国公立大学に入学した私は、それでも月3万円の奨学金を借り、卒業後に有利子で返済することになりました。これは私というより両親の希望でした。
卒業時の返済額は、総額150万円くらいだったと思います。
それを毎月1万円くらい返済していました。
加えて、車通勤のために(車でしか通勤できない場所だった)中古車を買ったため、これも毎月1万円くらいローンの支払いをしていました。
確か初任給の手取りが15万円くらいだったと思います。
15万円-2万円=13万円。
ひとり暮らしできないこともないけれど、頑張らないと貯金できないですね。
実家から通える国公立大学に入学して、月3万円というわりと少額の奨学金を借りても、これなんです。
進学のためにひとり暮らししたり、私立大学に通って月10万円とか借りたらどうなるか。
健康で働き続けられればいいけれど、そうじゃなくなったらどうなるのか。
みんながそうしているように、やりたいことをやるために大学に行く。
それをひたすら貫いてもいい。
でも、私はそれを分不相応だと思っていました。
そもそも、自分が生まれ育った環境を振り返ると、大学に行くことすら分不相応だったなあ、と思います。
でも、大学に行きたかった。
大学に行きたい、という気持ちだけで、とにかく勉強して、未来の自分にとって経済的に負担でない選択をする。
私自身、社会人になってわりとすぐに体調を崩したこともあり、それはそれでいい選択だったなと、今は思っています。