ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」~別れても好きな人
久しぶりの坂元ワールド全開のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」。
賛否両論だった前作の連ドラ「anone」も私は嫌いじゃなかったけれど、「最高の離婚」のような軽妙さが漂う今作は、まだ2話目だけれど名作の予感。
とにかく登場人物たちの間を飛び交う会話が面白い。ブロッコリーで戦う元夫達、勝手に元夫会議を開き出す場面とか面白すぎる。元夫達は、このまま親友同士になってしまったりして。
摩訶不思議な魅力のある主人公の大豆田とわ子は松たか子さん、優しいけど冷静で感情をあまり出さない最初の夫・八作は松田龍平さんで、「カルテット」からの二人の絡みも楽しみだ。
とわ子の家に隙あらば入り込もうとする一番未練がましそうな二番目の夫・鹿太郎は東京03の角田晃広さん、ちょっと面倒くさい捻くれ者の三番目の夫・慎森は岡田将生くんという、三人の元夫が全く違うタイプ。というか年齢的にもかなり幅がありますよね、とわ子さん。ストライクゾーンが広いのか。
元夫それぞれが未だにとわ子に惚れている。三人とも別れても好きな人が、とわ子。おいおい明らかになってゆくだろうけど、どうしてこの三人と結婚し、そして別れてしまったのか…と視聴者は思うのだ。
タイトルからして既に分かるように、主人公の大豆田とわ子は3回結婚して3回離婚しているバツ3で今は独身だ。
この設定を知った時に、まず私の頭をよぎったのは、あれ…これってうちの母のことですか?だ。そう、うちの母も3回結婚して3回とも離婚している。
とわ子の親友かごめ(市川実日子さん)は、"自分の人生に嘘をつかなかったって証拠だよ、100回離婚したって犯罪じゃないからね" と言ってくれたが。"土食べてみるといいよ。人生変わるよ。" ってナニ?(笑)もじゃもじゃヘアが可愛い。
かつて母がとわ子に、”一人でも大丈夫な人と誰かに大事にされる人、どっちになりたい?”と尋ね、とわ子は”一人でも大丈夫だけど、誰かに大事にされたい”と答えた場面は、何だかやるせなくなってしまった。
うちの母は、一人でも大丈夫な人では全くなかったが最期は独りで亡くなった。母の人生が私の結婚観や家庭観に少なからずとも影響を与えたことは否めない。
とわ子の娘の唄はちょっと冷めた目で母を見ているが、あんなにあっけらかんと三人の父親たちと付き合えるのは、すごいな…と思って見ている。それとも心が広いのか?ドライに見える唄だけど、本音ではこの家庭環境をどう思っているのかも気になるところ。
まさか、とわ子さん4回目もありとか…?そういう話になってゆくのだろうか。
私的には、三人の中で父親にするとしたら鹿太郎(角田さん)で、夫にするとしたら八作(龍平さん)、恋人にするなら慎森(岡田くん)かなぁ。って何様って感じですが妄想ですので。
第2話は慎森がメインの回で、とわ子と結婚していた頃はもっと素直で幸せそうだった。捨てられた思い出のソファに傷つき、無くした時間を取り戻したい、だけど主夫をしていた司法試験浪人中に仕事が出来るとわ子に嫉妬し、結婚生活を自ら放棄したのは慎森の方なのだ。それなのにいつまでもサヨナラが言えない慎森。
口を開けば憎ったらしくてウザい奴と思っていたら本当は不器用で可愛らしい人だった。パンダ好きで、あんなにシュッとしててカッコイイのに走り方がブザマなところさえも愛おしく感じた。
”別れたけど今でも一緒に生きてると思っているよ”と、とわ子に言われようやく吹っ切れそうな慎森なのだった。
岡田くんは「昭和元禄落語心中」八代目有楽亭八雲・役での、情念と凄みのある枯れた演技が印象に残っていて、またあんな役もやってほしい。それにしても、なぜ以前は私の中で春馬くんとごっちゃになっていたのだろうか…色白でシュッとしてるところは共通してるけど…。
伊藤沙莉ちゃんのハスキーな声がやっぱり好き。このままナレだけで本人は登場しないのだろうか。
八作とお店を共同経営するシェフ役にさりげなくキャスティングされているのは、東京事変 ギタリストの長岡亮介さんという配役の妙。
エンディング曲はトラックメーカーのSTUTSが手がけ、松たか子さんをフューチャーしてるのねって思っていたら、2話目はメインだった岡田くんがフューチャーされ曲が変わっていた!ということは、第3話はメインの角田晃広さんで第4話は松田龍平さんってことですか?また「カルテット」方式でキャストも全員歌うのか。毎回主題歌が変わってゆくドラマなんて今まであっただろうか。
攻めてますね。
個人的にもヒップホップは好きなジャンルなのでビートが心地良い。
それにしても、このドラマは登場人物がものすごく多い。こんなに大人数を同時進行で坂元さんはこれからどう動かしていくのかにも注目している。