ひとり時間、ふたり時間
1年と5ヶ月ぶりに夫が出社して、1年と5ヶ月ぶりに家で一人になった。
やったー!やったー!やったー!
大急ぎで仕事を片付けると、ゆっくりお茶したり、音楽を聴いたり朝ドラを見たり、一人時間を満喫。
リモートワーク推奨になってからというもの、一日中、夫と顔を付き合わせていた1年5ヶ月。夫には悪いけど、苦痛だった…。
亭主元気で留守がいい、ってほんとにそう思った。
子供の頃から集団行動も長い時間人と一緒にいるのも、人疲れしてしまうので苦手で、だから、こんな自分がよく結婚できたもんだ…と今でも思っている。
夫とは遠距離交際だったのが功を奏したのかもしれない。
しかも国を跨いでの遠距離だったため、年に数回しか会えなかったのも、逆に新鮮でよかったのかもしれない。
今でも自分が結婚して家庭を持っているという意識が薄いのか、朝が無茶苦茶弱い私は、目覚めたばかりで寝ぼけている状態の時に、夫や息子が視界に入ると ”だ、誰!?” と咄嗟に驚いたり、”ここは何処!?” と一瞬思い出せない時がある…(汗)
これ、ボケたらかなりヤバい案件。
夫と私は同い年で、私達は晩婚で独身時代が長かった。
お互いそれまでの長い時間をずっと自分のためだけに使い、好き勝手に生きてきた。
そんな二人が夫婦になったら、ぶつかり合いの連続だった。
最初の数年は夫も時々、一人になりたい…と呟き、ふらっと何処かへ出て行ったり、夫もかなりの一人好きなので、こんな者同士がよく一緒に暮らせてるな…と思う。
と、こんなこと書いてるけど、先日、かなりの雨と風の中、夫が珍しく学生時代の仲間と泊まりがけの船釣りに行ってしまった時は、万が一夫が海にでも落ちて、帰って来なかったらどうしよう…と、チラッと思った。
私は、この国に一人だけ取り残されることを恐れている。
絶対に勘弁してほしいと思っている。
ここは自分の母国ではないというのが大きな理由だけど、日本での独身時代は20年以上も一人で暮らしてきたというのに、私もヤワになったもんだ。
息子もいるけど、この国は18歳を過ぎれば親元から独立するのが当たり前で、親が年老いても独立した子供と再び同居するということは、まずない。
ここは独居老人だらけの国なのだ。介護もプロに任せるのが一般的。
こういう個人主義の国で生まれ育った息子に、面倒みてほしいとは思っていない。
◇
この国に住んですでに10年以上が過ぎた。
この頃考えるのは、私はこの国にこのままずっと住むのだろうか…ということだ。
夫と結婚した時は、この国に骨を埋める覚悟で…とか思っていたが、最近はそこまで頑なに自分を縛らなくていいかも、と考え直した。
ああ、日本に帰りたいなぁ…と、時々思うようになった。
これまでの人生の中で、田舎から上京した時も、この国へ移住した時も、私は一度もホームシックにはならなかったというのに…。
これが歳を取ったということなのか。
国際結婚した人の中には、この国の厳しい冬の時期は母国へ帰り、過ごしやすい夏になると戻ってくるという年配の方もいる。
近頃では "卒婚" なる言葉もよく耳にするようになった。
夫に「老後は、一年のうち半年は日本、残り半年はこの国に住むのが理想かも」と言ってみたら、自分も日本へついて行くと言い出した。
現実的なことは少し置いておいて、日本で暮らすのもありかも?と思ったら、少し心が軽くなった気がする。