ドラマ「やっぱり猫が好き」に慰められた〜50代、山あり谷あり
実は、ここ2、3ヶ月くらいずっと体調が優れなかった。
発端は、ある日とつぜん体のあちこちが痒くなり、蕁麻疹が出ては消えるというのを繰り返すようになった事だった。
先ず疑ったのは、服薬している甲状腺の薬だった。ほぼ甲状腺ホルモンの値も通常に戻りつつあったものの横ばい状態だったため、同時期に少し薬の量を増やしたら多すぎたようで、亢進症の反対の低下症状態になってしまった。しかし一年近くも飲んで何ともなかった薬で急に副作用が出たりするものだろうか?
病気の顛末はこちら↓
主治医に報告したところ、1ヶ月断薬して様子見と言われてしまい、当たり前だが薬を一月も飲まなかったらあっという間に治療前の値に戻ってしまった。
しかも断薬したのに蕁麻疹も治らず…。
そこからは坂を転げ落ちるように健康状態が悪くなり、息子からうつった風邪で2度も熱を出し寝込み、それがきっかけで咳が止まらなくなり、持病の咳喘息を発症し10年振りに吸入薬の世話になることに…。
そして甲状腺の方は、新しい薬を試す事になったが、日本では普通に処方されている薬なのに、この国では一般には承認されておらずイレギュラーな場合のみの処方となるため保険適用もほぼなく、今までの薬の5倍もする値段に目ん玉が飛び出そうになり、しかも激マズで、その薬を飲んだ後は何を食べても全て苦く感じてしまい味覚がおかしくなる。
蕁麻疹の方も相変わらずで、市販の抗ヒスタミン薬を飲んで凌いでいたが、3ヶ月経っても治らずついに皮膚科へ。公立病院は予約半年待ちとかなので、仕方なく保険外診療の私立へ。
更に追い討ちをかけるように、歯が痛い…(これでも私は息子を40代で産むまで生まれてから一度も虫歯になった事がなく、歯は強かった)それなのに、熱かったり冷たい飲み物を飲む度に沁みて痛い…知覚過敏なのか?虫歯なのか?
まさに弱り目に祟り目…次から次へと一気にいろいろな症状が噴出して、日頃は呑気な私も、さすがに気が滅入った。
更年期に入ると甲状腺ホルモンに影響が出る人は結構いるのだ、ということを薬剤師の友人に聞いて、一連の体調不良の大元は、やはり甲状腺ホルモンの乱れから来ているように思えてならない。
医者からは薬で寛解しても再発する確率も高く、アイソトープ(放射性ヨウ素カプセルを服用し甲状腺を被曝させ縮小させる方法…怖い…)か、甲状腺摘出手術を勧められているが、どちらも甲状腺がなくなることで逆に長期的には低下症になり、一生、甲状腺ホルモンの補充が必要になることもあると聞き決断できずにいる。
◇
そんなわけで、ここ2週間位は寝たり起きたりしていた。なかなか回復しないもののずっと寝ているだけにも飽きて、横になったままネットサーフィンしてたら、「やっぱり猫が好き」を見つけた。
「やっぱり猫が好き」は、1988〜1991年まで放映していた、今では伝説となっているドラマで、三谷幸喜さんも脚本家として参加していた。
おっとりして面倒見のいい長女・もたいまさこさん、自由奔放な次女・室井滋さん、末っ子らしい愛嬌のある三女・小林聡美さん演じる、恩田家・三姉妹だけが登場し、マンションの一室から一歩も出ずに話が繰り広げられる。
どこまでが台本通りで、どこまでがアドリブで素なのか境目も曖昧な、くすっと笑えて時にシュールなコメディなのだ。
私は当時も大好きでリアルタイムで観ていたが、今見返すと35年も前なので、キャストが皆もの凄く若い…!
長女・かや乃は元手タレの会社員?で、すでに両親は亡く歳の離れた三女・きみえには甘く母親の様にあれこれ世話を焼く。きみえと住むマンションは、かや乃が購入したものだが、何度か引っ越している。
もたいさんは今とあんまり雰囲気は変わらないけど、まだ30代のもたいさんを見るのは何かとても新鮮。
次女・レイ子は女優だが売れてないので、「赤さそり」でホステスもしている。姉妹も”水戸様”と呼んでるかなり年上の男性と長く不倫中で、一度、とつぜん若手歌舞伎役者(笑)と式を挙げたのだが、マンションにこっそり舞い戻ってしまい破談。
姉妹と同居はしていないが、しょっちゅうマンションに来て入り浸っている。
30になったばかりの室井さんはスラッとしてスタイルが良く今見ると色っぽさもあり、いい女ではないか!劇中では気怠げに煙草をふかす姿も様になっている。
三女・きみえはテレビ制作会社のAD。
サバサバしてる所は素の小林聡美さんと重なるけど、20代半ばの聡美さんはまだあどけなさが残り、溌剌としていて可愛らしい。甘えたり、ちゃっかりしてたり、でも意外と鋭かったり、末っ子役がぴったりだった。
クリスマス・スペシャルでは、長女・かや乃が社員旅行で家を留守にしているのをいいことに、次女・れい子がクリスマスパーティ会場として勝手に部屋を貸してしまう。
ところが、かや乃は風邪をひいて途中で帰って来てしまい、れい子から口止め料をせしめた三女・きみえが、家に帰らせない様にあの手この手で、かや乃を阻止するのだがーー
この回は珍しく野外ロケで、最後は三姉妹がワチャワチャと、おでん屋台で飲みながら、きみえがハンディ・カラオケで松田聖子の「スウィートメモリーズ」を熱唱。この歳になって聴くと、なんだか歌詞も沁みる。
このドラマは、途中でセリフを噛もうが間違えようが、可笑しくて吹いてしまおうが、そのまま続行、設定もキャストが成り行きで変えちゃったり、男性スタッフの笑い声までしっかり入っていたり、深夜枠での放送ということもあってか、やりたい放題で自由な感じが面白い。
きみえがバッグから取り出した携帯電話が驚くほど馬鹿デカくて、思わず笑ってしまった。80年代だなぁ。
オープニングの桜沢エリカさんのイラストも洒落てるし、矢野顕子さんの主題歌「David」も懐かしい〜。
シーンの合間に挟まれる飼い猫サチコの姿にも癒される。
ぐふふふふ、と笑いながら何話も観ているうちに、気持ちがちょっと軽くなり、入院するとか不治の病という訳でもないんだし、あんまり深刻に思い詰めても何もいい方向には行かないな…と、気分転換になった。
まぁ五十路ともなれば、体にいろいろ不調が出始めてもおかしくはないのだ。
無理せず適度に力を抜いて生きてゆく歳に、自分もなったのだなぁと自覚した。
矢野顕子さんの公式チャンネルで「David」を見つけた。BLUE NOTE TOKYOでのライブはジャズアレンジもカッコいい。
私は30年来の矢野ファンであります。