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黒歴史大公開

 こんにちは。最近ハイペースで書けていて、とても良い気分です。社会人になってからというもの、ビジネス用語やら堅苦しい敬語やら定型文ばかりを使っているので、こうやって自分の内面から出る言葉や表現で文章を紡ぐ作業は結構大事なんじゃないかと思うようになりました。これからもこつこつ細々と続けていきたい所存です。継続は力なりと言いますし。今でこそこういった日記のようなエッセイ調のものばかり生み出しておりますが、遠い昔は小説も書いていたことがあるんです。

 大学生の時、20人くらいの同級生たちと短編集を制作しました。わたしは主催として校正やら進捗確認やらあれこれ奔走する一方で、自分自身も悪戦苦闘しながらなんとか一作書き上げ、作者の一人としても参加したんです。その時の短編集のテーマはパンでした。

どんな物語でも良い、そこにパンがあるならば。

という縛りだけを決めて、あとは長さもジャンルも内容もなんでもござれ。自由に書いてください、と皆にお願いしました。

 あなたにとってパンはどういったものでしょうか。寝る前から朝ごはんが楽しみになる存在、それともコンビニで安く気軽に買える便利な存在、はたまたわたしのようにパン屋さん巡りが趣味だったり、一から自分で作るよ!なんて猛者もいらっしゃるでしょう。同じものを統一のテーマにしたからこそ、書き手それぞれの感性が際立って、我ながら読み応えのある素晴らしい短編集になったと思っています。

 わたしはというと、ろくに経験もないのに恋愛をテーマにしてしまい、しかもこちらも未経験の社会人の設定で書き始めてしまったせいで、今読み返すとなんだかとんちんかんな作品になっております。消してくれ。ちなみにわたしはパンを二人の思い出として登場させました。振られた彼女が、彼氏と行ったお気に入りのパン屋さんに赴いて……というあらすじです。ありきたりですね(白目)

 いえ、これはまだいいんです。本題の黒歴史はここから。わたしは幼い頃からずっと本が好きでした。そして本好きの大半が通るであろう

自分でも何か書いてみたい

という衝動にかられ、中学生の頃実際に小説を書いてみることにしたんです。しかも受験期。今思うと勉強や成績といった諸々から逃避する手段だったのかもしれません。
 物語の内容は、男子高校生の日常。この頃は山田詠美さんにどハマりし「ぼくは勉強ができない」を何度も読み返していた時期でした。それはそれは顕著に影響されちゃっています。

 主人公は風間淋斗(かざまりんと)という男の子で、ものすごいクールぶってるちょっと冷めた感じの、気だるそうなツンツンキャラクターです(これも完全に「ぼくは勉強ができない」の時田くんが好きすぎて影響されている)。そしてそんな主人公の親友が「相沢爽良」(あいざわそら)くん。この子はザ・陽キャみたいな、人懐っこくて元気で、そこにいるだけで周りが明るくなるような愛されキャラクターの設定にしました。そして、転校生として登場し、後にふたりと仲良くなるのが「沢田慧」(さわたけい)くんです。彼は淋斗くんに近い割と冷静な性格ですが、仲良くなった人には距離感近めでグイグイいくタイプで、何かと行動力があるキャラクターです。あとイケメンです。

 うーん、そこはかとなくキラキラネーム感があって恥ずかしいです。そしてなんか性格イタいよね?と思ったそこのあなた。触れないでください。こちら作者の「癖」が詰まりに詰まった3人組が、何気ない会話をしたり、遊びに行ったり、修学旅行に参加したり、彼女ができたりする話を、それはもう熱心に、楽しく書いておりました(勉強しろ)。

 でも割と長い間、3人組の日常を書き続けていられたのは、毎回更新を楽しみにしてくれる友達がひとりいたからです。その子とは塾が同じでした。小説を印刷したコピー用紙を、授業前にまるで賄賂みたいに手渡して。いつも休み時間に読んでくれて、帰る時に大興奮で感想をくれるんです。わたしの作品をこんなに楽しんでくれる人がいるんだ、と思ったら、それがたったひとりでもものすごい原動力で、文字を打つ手が止まらなかったです。友達はイラストがとても上手な子だったんですが、その年のお正月、なんと3人組を年賀状に描いてくれました。その時の感動は、文字通り言葉にできなかった、言葉にならなかったです。今でも宝物です。

 せっかくなので、もう少し物語の内容を書かせていただこうと思います。たしか3章あたりで爽良くんに後輩の彼女ちゃんができます。「和」(のと)ちゃんです。貧血でぶっ倒れた彼女を、爽良くんが保健室に連れて行ったのが出会いです(こちらもありきたりだし、少女漫画脳すぎる)。爽良くんはデレデレなので浮気とか有り得ません。純粋溺愛キャラです。淋斗と慧に一晩中惚気倒して呆れられるシーンがあります。和ちゃんは大人しいけど意思の強い女の子として書いた気がします。わたしの脳内ではショートカットでした。

 それから担任の佐伯先生。若くて適当で、よく言えば融通がきいて、生徒に好かれる先生です。彼女がいます(名前忘れた)。3人組が海に遊びに行く章で、先生と彼女さんのデート現場に出くわすシーンを書きました。先生冷やかされてたじたじだったなぁ。たぶん実際気まずいですよね。
 鬼のような生活指導主任もいたんですが、登場シーンが少なかったのと、自分も愛着がない(ひどい)せいでうっかり名前を忘れてしまいました。

 そんなこんなでかなり長い間、いろんな3人組の日常の一瞬を書いていました。ですが、この作品は未完です。いったいどのシーンまで書いて、いつ、どうして書き続けるのをやめたのかさっぱり思い出せません。ですが今こうして振り返って、恥ずかしいところだらけで黒歴史でもあるれど、それも含めて何気に愛着がある自分に気がつきました。

 いつか続きを書いて、3人組に会いたいです。

 

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