足利尊氏の不思議な魅力

日本史上、重要人物であることは間違いないのに、なぜかぼんやりして捉えどころのない人物。
室町時代の礎を築いた意味では、源頼朝や徳川家康と同列とは思うものの、大河ドラマでは太平記で主演となったものの、とんとご無沙汰。人気があるのかないのか?

鎌倉末期から室町時代初頭までに興味がある自分としては、この時代がなぜあまり取り上げられないのか、不人気なのか?と周囲の人に聞くと、よくわからないから、と言われる。
表舞台に立つ人物がコロコロ変わる。朝廷が二つに分かれ、北朝と南朝の中でもまた勢力がわかれ、それぞれがそれぞれの思惑で動き、裏切り、裏切られ、、、

絶対に生まれ変わりたくはないが、面白い時代と思うのです。そんな中で勃興した足利尊氏は、武将としてめっぽう戦に強く、また武将たちに人気の高い人物でした。
やる気があれば朝廷も取り込めたのに、尊皇の意思が強く、後醍醐天皇には頭が上がらなかった。後醍醐天皇の名前から「尊」を賜って生涯大事にして変えなかったり、これからという時に「天皇には逆らえないと」頭を丸めて引きこもって、弟や部下達を大いに困らせたことも。
弟や執事との確執も、尊氏の優しい気性というか、強気になりきれない優柔不断な感じが垣間見えて、歴史上の偉人というよりも、ちょっと泥くさい存在に思えてきて、ぷぷっと笑えるところも。

後年は尊皇攘夷派の志士たちに墓を壊されたり、昭和の初期には大反逆者扱いされたりと、死後も紆余曲折な尊氏は、なんだかんだでとっても魅力的な人物であります。

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