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実行型組織シンドロームとは

再現性の高い成功のシナリオの老朽化

 さてここからが本当の重要ポイントですが、再現性の高い成功のシナリオにも残念ながらライフサイクルがあります。完全に戦略化できたと思ったビジネスモデルは、いずれ必ず翳りを見せはじめます。それが成功のシナリオの老朽化・陳腐化です。

 ひとつの成功のシナリオだけに頼っていると、やがていつか増収増益を続けてきた売上や利益にも翳りが見え始めてきます。そしてさまざまな対策を講じますが復活の兆しは見えません。こうした状況は政治や経済など外部環境の変化をきっかけとして表面化します。ですから「外部環境のせいだから耐えるしかない」と考えて放置してしまいます。しかし、そのことが症状を悪化させ、場合によっては手遅れにしてしまうのです。

 本当の原因は外部環境の変化ではありません。外部環境の変化は、ただのトリガーに過ぎません。事業が停滞する本当の理由は過去の成功のシナリオの老朽化・陳腐化なのです。

 こうした兆しが見えた時の解決策はただひとつです。それは戦略型組織の比率を高め、実行型組織に傾倒しすぎた状態を改善し、戦略型実行型ハイブリッド組織にするということです。

 必要なのはうまくいかなくなった過去のビジネスモデルを焼き直すことではなく、新たなビジネスモデル、次世代の商品やサービス、近未来の戦略を創発することなのです。

 さてここでもうひとつ重要なファクター(要素)を確認しなくてはなりません。それは会社の置かれた現状ステージです。

ステージとタイプの関係

 突然ですが御社は次の①~⑥のどの段階にあるとお考えですか?

① 会社の規模はまだ小さく、現在も試行錯誤を繰り返しており、再現性の高い成功のシナリオが発見できたとは言えない状況である。
② 会社の規模はまだ大きくはないが再現性の高い成功のシナリオらしきものがすでにある。
③ 再現性が高い成功のシナリオがあり、会社が右肩上がりで成長している
④ 再現性の高い成功のシナリオがあり、現在も安定して成長を続けている。
⑤ これまでは安定していたが、最近ではさまざまな要因で売上や利益にやや翳りが見えてきた。
⑥ 売上や利益が激減し新たな施策の導入が急務な状態に陥りつつある

いかがでしょうか?この①~⑥はまさに会社のライフサイクルそのものです。

① は経営トップや経営幹部たちが戦略を生みだすべきステージです。
② は戦略型組織から実行型組織への変革前のステージです。実行型組織へと変革し、事業を拡大すべきか否かの重要な経営判断が行われるステージです。
③ は実行型組織の成長期です。この時期はまさに飛行機のテイクオフと同じです。安定飛行が可能になるように、フルパワーで実行型組織の強化に注ぎ込むべき時期です。
 ちなみに実行型組織の強化に必要なツールはマニュアル化、チェックリスト化、ロールプレイング教育の徹底です。

 この③の段階で多くの会社は戦略型組織の要素を必要以上に捨ててしまい、実行型組織傾向を強めてしまう傾向にあります。特に社歴が長い会社ほどその傾向は顕著です。

そして④⑤がまさに戦略型組織へ回帰し、実行型戦略型ハイブリッド組織へ再変革すべきステージだと言えます。⑥は少し手遅れになりつつある状態かもしれません。そうならないうちに手を打つ必要があります。

そして冒頭にお話をした、

□ 社員は言われたことを言われた通りにしかできない
□ 組織全体にやる気が感じられない
□ 社員から積極的な提案が何も上がってこない
□ 何年も会社の柱になるような新製品や新事業がでていない
□ 会社の成長や売上にやや翳りが見えてきた

という状態はまさにステージとタイプのミスマッチが大きくなり、会社全体に実行型組織の弊害が起きつつある状態だと言えます。この状態を私達は実行型組織シンドロームと呼んでいるのです。

 再び繰り返しますが実行型組織である、ということが悪いということでは決してありません。次のステージ、つまりは実行型戦略型ハイブリッド組織に移行する時期が来たということだけなのです。

 改めてお伺いします。あなたの会社はどのステージにありますか?そして今は何をすべき時期なのでしょうか?ぜひこれを機会に真剣に考えて見てください。

□ 再現性のある成功のシナリオを、経営トップ、経営幹部が先陣を切って発見すべき時期
□ 発見した再現性のある成功のシナリオを用いて事業を拡大すべき時期
□ 実行型組織の体制を強化して会社を安定飛行させる時期
□ 戦略型組織へ原点回帰し次世代の事業戦略をチームで考えさせるべき時期

もしあなたが □ 戦略型組織へ原点回帰し次世代の事業戦略をチームで考えさせるべき時期にチエックを入れられたのなら、これから私はこのノートをお読みの経営者さまに、具体的な組織変革方法をお伝えしたいと思います。

その方法とは私が独自に体系化した「プロジェクティング」という手法です。このプロジェクティングこそが、これまですべてのクライアントで成果を上げることに成功した独自のメソッドであり、また実行型組織シンドロームに陥った会社を、実行型戦略型ハイブリッド組織へと変える最も確実な方法でもあるのです。

次の投稿では「プロジェクティング」のメソッドをお話させていただきます。