プロジェクト運営ノウハウ
この章はぜひプロジェクトリーダーにも読ませてあげていただきたいと思います。
プロジェクト会議の進行にはいくつかのルールがあります。まず最も重要なことからお話をさせていただきます。それは、
重要ポイント①
徹底した顧客視点をブレることなく貫く
プロジェクトやプロジェクト会議では徹底した顧客視点を貫くと言うことです。マーケティングの最新ノウハウを学んだり、マーケティングリサーチのデータを分析したりするよりも、常に徹底した顧客視点を貫いた方が成果は出ます。これが我々の結論です。
結果として小手先のマーケティング戦術に依存した商品よりも、ヒットしロングセラーを続ける商品やサービスを生みだせるということです。
具体的にはプロジェクト会議中に「お客さまのために」というキーワードを加えてみてください。
ちなみにプロジェクトは決して仲良しでなくてもかまいません。むしろ真剣に話をすればするほど議論は白熱するものです。ブレーンストーミングでは相手の意見を否定や批判することは禁じられますが、それはあくまでもアイディア出しの段階までのことです。実行計画を立てる段階では真剣な議論が行われるべきであり、意見の衝突はあってしかるべきだと考えます。成果を出すプロジェクトは必ず衝突します。
但し、ここで重要なことは、
重要ポイント②
セクショナリズムや部分最適主義は完全撤廃せよ
セクショナリズムや部分最適主義は完全撤廃せよということです。
実行型組織はいわゆる部分最適化することで会社はうまく回ることがあります。細部が最適化されれば全体も最適化されるという理論です。従って自らが所属するセクションの最適化を優先することが常態化してきます。
しかし、プロジェクト内ではセクショナリズムは完全に「害」です。
なぜならそこに「顧客視点」は存在しないからです。
「開発部の企画した商品は市場のことがまったく分かっていない」
「営業はもっと商品のことを勉強してほしい。営業が勉強不足だから開発が命がけで開発した商品が売れないんだ」
「開発はもっと生産の事も考えて設計してもらいたい。生産部としてはこんな中途半端な設計では今後は移管を拒否する」
「営業は現場のことを知っているんだから、もっと売れる商品を提案すべきだ」
これはよくある部門横断型の会議での発言です。
しかしプロジェクト会議ではこのすべての発言がNGです。
お気づきだと思いますが、これらの発言には顧客の影はまったく見えません。
しかし同じような発言でもそこに「お客さまのために」というキーワードが加わればOKです。
「この商品の仕様は分かりにくい。お客さまのためになるとは思えない」
「こんな商品ではお客さまが本当に喜んでくれるとは思えない」
「お客さまのためにもっと商品の良さを実感できる工夫をすべきだ」
「設計段階で工数の簡素化に協力してもらいたい。工数が簡素化できればお客さまのためによりハイグレードな原材料が使用できるようになる」
「本当にお客さまが何を求めているのか自分たちの耳で聞きたいので営業に同行させてもらいたい」
これはまるでゲームのようなもので「お客さまのために」というキーワードの使用を会議の中で徹底していると、やがてセクショナリズムは影をひそめ、顧客視点的な思考が日常的に行えるようになります。
「お客さまのために」のキーワードさえ入れば、少々、議論がヒートアップしてもまったくかまいません。
チームワークが良いと言う言葉はよく誤解されますが決して仲良しであるという意味ではありません。
ちなみに私が累計100億円の商品群を創出したプロジェクトも決して仲良しではありませんでした。
議論はいつも白熱をしてしまいましたが、結果としてそれぞれがそれぞれの仕事を認め合っていました。
話を戻しますがではなぜ徹底した顧客視点が必要なのでしょうか?
それは当然、ヒット商品を創出したり、柱となる新事業を創出したり、または売上を向上させるために他なりません。
確かにマーケティング手法は実にさまざまです。しかし、そのすべてを試みることはきわめて時間が掛かります。またマーケティング戦略の中には非常に高度なものも多く、付け焼刃で実行すると危険なものもあります。
一例をあげるとそれは「価格戦略」です。
価格戦略は最もシンプルで、最も即効性が高い戦略です。
しかし、実は価格戦略は非常に高度な経営判断を強いられる最も難しい戦略でもあります。
一歩誤ると会社を迷走させ、場合によっては致命傷を与えかねません。
一方で徹底した顧客視点の取り組みは一見、難しいように思えます。
しかし、これほどシンプルでこれほどパワフルな戦略はありません。
立ち止まることなく顧客視点を貫くことができれば、必ず成果を上げることができます。
マーケティングでは顧客視点と合わせて、あとひとつだけ重要なキーワードがあります。
それは、差別化です。