アイドルのコンサートだと思ったら、自分らしく生きる大切さを学んで帰ってきた。
「今年買ってよかったもの」を同僚と話していて、モノよりも体験だよね〜〜と、もうここ何年も出つくしている言葉にまとまってしまった。
わたしにとってのソレは、推しているアイドルのコンサートだ。1年ぶりに有観客も再開して、何度か足を運ぶことになった。
1つめは、峯岸みなみちゃんの卒業コンサート(2021年5月開催)
2つめは、その翌日に開催された、超ひさしぶりのAKB単独コンサート「好きならば好きだと言おう」。柏木由紀ちゃんの全面プロデュースだ。
最後の3つめは、横山由依ちゃんの卒業コンサート(2021年11月開催)。
AKB48をかれこれ11年くらい応援しているが、主力メンバーや推していたメンバーの卒業によって、一時よりはトーンダウンしてしまった昨今。
卒コン参戦の動機も「あのOGが来るかもしれない」という下心があったことは、否定できない。
ただ! わたしは、そこですばらしい事業継承の現場を目撃してしまって「AKBは、これからが面白い!」と興奮してしまった。そして、おおきな学びが3つのライブにはあったのだ。
※注:見出し画像に使っているのは「チーム8全国ツアーファイナル」の撮影タイムのもの。
新旧メンバーを引き合わせる、気配り
まずは、5月の峯岸みなみ(以後、みぃちゃん)卒コンから。すごい興奮しながら、帰途についた。
卒業コンサートといえば、卒業する本人が主役となって、センターポジションでステージに立ち続ける。そんなイメージがあった。
でもみぃちゃんの卒コンは、いい意味で想像とまったく違うものだった。
もちろん。たくさんニュースにもなっていたように、レジェントOGたちが大大大大集合して、その豪華さにも圧倒された。こんなに来るかね、ってくらい来てくれた。
ただ、冒頭のツイートにもあるように、レジェンド目当てで久しぶりに来たであろう古参ヲタ(昔からのファン)への現役メンバー紹介が抜かりなかった。
いまのAKBには、こんな子がいるんですよ!どうですか?!また戻ってきませんか? そんな叫びが聞こえるような構成だった。
現役メンバーは、AKBの全盛期をファンとして見ていて憧れて入ってきた子が多い。その子たちにとっても刺激になるように、レジェンドをセンターに据えた曲メドレーでは、一緒に出演するメンバーとして、そのレジェンドに憧れていたメンバーたちが選ばれていた。
自分が入ったときには、もうその先輩が卒業してしまっていて、一緒に踊れなかった。そんな子たちの夢をも叶える、最高の配慮がそこにあった。
顔ぶれで、そのみぃちゃんの心意気が伝わってきて、ぐっと来た。
たしかに。これまでの卒コンでは、OGが登場しても「こりゃ踊らないな」って感じのロングワンピース着てるパターンが多かった。でも、この時はみんなバリバリに踊っていた。麻里子さまとか現役時代と寸分変わらぬいでたちで、あれ?タイムスリップ??ってなったわ。
「一期生最後のひとり」だからこその、使命感のようなものがみいちゃんにあったのだと思う。
みぃちゃんといえば、毒舌キャラやバラエティで体を張るシーンが印象に残っているひとが多いかもしれない。でも、普段は「わたしなんて」と下を向きがちで、あまり自信が持てずにいるイメージが強い。
そんな彼女の大仕事。それが、新旧のバトンをつなぐ役割だったのだなぁとわたしは号泣しながらコンサートを見ていた。なぜ、みぃちゃんに成し遂げられたのか? みぃちゃんの卒業公演で秋元康さんが送った手紙に、その理由が書かれていた。
グループのために、みんなのために。これまで邁進してきたみぃちゃんだからこそ、これからの活躍を心から応援したい。
みぃちゃんの卒コンについては、衣装デザインを担当したしのぶさんの記事も最高なので、読んでほしい。
初心に戻って、がむしゃらな姿を見せる
みぃちゃん卒コンの興奮がさめやらぬ翌日。AKB48単独コンサートが開催された。
前日がレジェンド大集合の豪華さだっただけに、どんな感じになるんだろう? と正直そこまで大きな期待をせずに会場入りした自分がいた(ごめんなさい)。
でも冒頭から、すごい熱量で……最高に楽しかった!!!!!
まさかの48曲ノンストップ、MCなし。メンバーたち酸欠にならない? 大丈夫? と心配になるくらいだったけど、全力のかけ声でファンを煽り、汗だくになりながらも、だれよりも楽しそうなメンバーたちの様子に「これぞアイドル」と興奮した。
前日のみぃちゃん卒コンが注目を集めるのは必至だったから、単独コンサートも「なにか見出しになることを」と考えて、最初にノンストップでやることを決めたらしい。
ゆきりん(柏木由紀さま、この単独コンサートの演出ぜんぶ考えたお方)。天才じゃん。
まんまと皆さん、記事の見出しにしてます。
個人的には、ラストスパートの40曲目で「Only today(ラインダンスで90度くらい足を上げる。じつはハードな曲)」が入ってたのが、ゆきりん容赦ないなって感じで好き。
最後の三代目総監督、向井地美音ちゃんの挨拶。プロデューサーのゆきりんの見守る様子が、まさに母。ここでもわたしは号泣していた。
感動はここで終わらない。その翌日、ゆきりんのYouTubeチャンネルで演出解説が生配信された。もちろん、わたしもリアルタイムで視聴。
ここで、ゆきりん演出の凄みをさらに実感することになる。
なんで、あれだけメンバー全員が楽しそうだったのか? そこには、ゆきりんの強いこだわりがあった。
わたしもAKBのコンサートへ行くたびに思っていたけど、選抜+その他という構成になりがち。あまり出れないメンバーのモチベーションを上げる難しさを感じていた。
でも、今回はみんなに「ここで頑張るぞ」と思える見せ場があった。それはゆきりん自身の体験がもとになっていたらしい。
早くから選抜メンバーに入っていたゆきりんは気づいていなかったけど「自分は本当にAKB48なのか?」と疑問に感じてしまうことの哀しさ。
以前のコンサートで、ゆきりんも30分以上出番がなくて、ずっと楽屋に待機していたことがあったらしい。
「AKBのメンバーなのに、楽屋でずっと暇していることの辛さを知った」
「これじゃあモチベーションに差が出るのも当たり前」
「なんのためにAKBに入ったんだろうって考えちゃう」
だからこそ、今回の単独コンサートでは、それぞれのメンバーに見せ場を作ろうと決めていたらしい。
解説見ながら、泣くとは思わなかったよ、ゆきりん。
メンバーたちも視聴していたみたいで、続々と上がる感想と感謝の声。
この生配信自体も、#今こそAKB というハッシュタグがついて、トレンド入り👏
現役メンバーの魅力を思う存分に伝える、最高のコンサートだった。ひとは与えられる役割、期待をかけられることで、こんなに輝きが変わるんだということも教えられた。
アイドル、学びが多すぎるでしょ。
二代目の重圧を乗り越えた先
最後は、つい先日のこと。11月27日に開催された、横山由依ちゃん(以後、ゆいはん)の卒業コンサート(明日の12月9日まで17LIVEでアーカイブも見れる!)。
ゆいはんは、どういう時代を生きたひとなのか。簡単に説明すると黄金期から次世代へのバトンをつないだひと。
第一回総選挙が開催された2009年に「9期生」として加入
島崎遥香(ぱるる)など人気メンバーの多い9期のなかで、最速で研究生から正規メンバーに昇格
AKBの黄金期としてみんなが記憶しているであろう時期を、末っ子フロントメンバーの1人として過ごす(初めての選抜入りは「Everyday、カチューシャ」。大島優子、指原莉乃、北原里英とともに「Not yet」というユニットを結成する。などなど)
初代総監督・高橋みなみから、二代目総監督へ指名されて2015年に継承
最後の「二代目総監督を継承」の重圧が、いかほどだったのか。察するに余りある。
このコンサートでも、悪戦苦闘していた当時を振り返るスピーチがあった。
「たかみなさんという壁がすごく高くて、比べてしまって落ち込むこともすごく多かった。(中略)私が高みなさんにはなる必要はなくて、私は私でいいんだとある日思えたら楽になった」という言葉。
多くのひとが共感できる話ではないだろうか。いち社会人としても、前任者と比べられてしまう環境におかれることは、よくある。そう。誰かの代わりにはなれないんだよな。
卒業スピーチ全文は、こちら。
そんなゆいはんから、総監督の座を引き継いだ向井地美音ちゃんが、最後に手紙を朗読していた。
その手紙でも、これまた大号泣。
「マジメに頑張ることはかっこいい、と教えてくれた横山さんがいてくれたからこそ、今のAKBはこんな輝きはじめました」
そう!そうなのよ。
一時期のAKBでは「努力はかならずしも報われない」「マジメに頑張っている子が報われない」空気が流れているなと感じることがあった。
でも、いまはみんながむしゃらで、最新曲「根も葉もRumor」はファンじゃない方々からも、絶賛されている。すごいいい空気。
ゆいはんが残してくれた足跡が、確実にいまのAKBを築いている。すぐに芽が出なくても、確実に。
アイドルに笑顔と癒やしと明日を生きるパワーをもらう。わたしも、自分の持ち場で、自分の正義をつらぬこう。
そして、AKB16周年。おめでとうございます!
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