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カンボジアの農村に親子でどっぷり浸かってきた #doortoasia

カンボジアのコンポントム州へ行ってきた。ひとつも観光はせず、初めて会う30人近くのひとたちと生活をするために。

この奇妙な旅は「Door to Asia」のlearning camp。トヨタ財団が助成をしているプログラム。

Door to Asiaは、いろんな国、地域で開催されている。そして、開催国のホストによって、プログラムはまったく違うらしい。

事前に、何度も打ち合わせがあった。そして、今回のホストのマイマイさん(カンボジア在住10数年、コンポントムでホテルを経営している)からたくさん説明をしてもらったけれど、正直、いまいちよく分からない。

そんなハテナがたくさん浮かんだまま、出発をした。でも、帰るときには参加したみんなとの熱い一体感が生まれて、絶対にまた会いたいと思っている。

自然との共生とは、豊かさとはなにか。

そんなことだけを考えて、クイ族のみなさんとの暮らしを楽しみつくした、不思議な1週間の記録。

猛烈に長いので、結局なんなの?は「参加後記」からどうぞ!


8月16日(金) せり状態のVISA発行

なんとか4時半に起床。昨日、ノロノロと遅くまで準備していたから、2時間ちょっとしか眠れなかった。

娘とあわただしく出発。駅前で友人家族と合流して、ワイワイ空港へ向かう。娘はその家族全員のことが大好きで、家族の一員になったようで嬉しそう。

成田へ着いたら、何はなくともラーメン!!!

さようなら、日本のソウルフード

台風直撃で飛ばなかったらどうしようと心配していたが、なんとか逃げ切った。よかったー!

一路ホーチミンへ。

ホーチミンの乗り換え時間が予定よりタイトになってしまったが、とにかく食べたくて、フォーを頂く。

単独プレーで、ひとりフォー
この旅で何度も思う、カンボジアの雲は大きい
田畑が見えてきて
空港が近づくと、一気に大きなビルが増えてきた
都会

着いた後、VISAの手続きカウンターが、セリ状態だった。一応並び列のようなものはあるが、無視するべし。

強い気持ちで前線に行って、自分の名前とパスポートの写真が掲げられるのを待つ。

呼ばれた人は、挙手してVISA代のお札を即渡す。その様子が、ただのセリ。

我々は総勢10人だったので、もはや担当のおじさんも「早く10人分そろえるゲーム」になりつつあり、引き当てるとめっちゃ嬉しそうだった。

SIMは7日間、30ギガで5ドル。

今回参加する、セブとバンコクから来たクリエイターのみんなと空港前の中華料理屋で合流。

お腹いっぱい食べた後は、そのままホテル・Sambor Villageへ移動する。超最高だった。noteもやってる!


道中、たくさんクメール語を教えてもらう。

・チェムリアップスゥオー(こんにちは)
・オークンチュラン(たくさんありがとう)
・ニョム⚪︎⚪︎(わたしの名前は⚪︎⚪︎です)
・チニェン(おいしい)
・エルテイ(みんなで助け合う)


ホテルのお部屋、めちゃくちゃ綺麗
娘は友だちと2人で仲良く蚊帳に入って寝る

8月17日(土) 助け合う、エルテイなくらし

泥のように眠り、今日からいよいよ村へ。

われらの到着が予定よりちょっと遅れた結果、精霊にお祈りする儀式が終わっていた。でも、わたしたちのことも守ってくれることになっているらしい。

ベースキャンプでみなさんと対面
食事の準備が行われていた

地元組(大学生、コーディネーターを務める現地のクリエイターのみんな)と初顔合わせ。だめだ、人が多すぎる。

昨日習得した、写真を撮ってそのキャプションに名前を書く技でなんとかメモを取る。日本の名前に似た響きは、覚えやすくて良い。

わたしの場合は「My name is Ai. Ai means "love" in Japan」と言うと、万国共通で盛り上がってくれるので、ありがたい。便利な名前にしてくれた親に感謝。

カンボジアでの初食事。先ほどぶつ切りにされていた肉がたくさんの野菜とともに煮込まれている。とっても美味しくて、ご飯を2回もお代わりした

カンボジア料理は具沢山スープをご飯にかけるスタイル。地元組が優しく色々教えてくれる。

食後は、ming ming(おばちゃん)たちが作業してくれている食事の準備を見守る。

タケノコに似た野菜。どんどん剥いていく
ming mingを取り囲む子どもたち
トイレはこんな感じ

ぼ〜〜っと過ごしていたら、おじさんが松明を作るところを見せてくれることになった。まずは、森へ材料を取りに行く。

食虫植物。図鑑で見たやつ〜!テンション上がる
たくさんの葉っぱを取ってきました。右のバケツに入っているのは、樹液
木の幹に穴を空けてあって、そこに枝を入れて火を付ける。さっき取ってきた葉っぱは、この火を消すためのもの。穴を葉っぱで塞いだら、一瞬で火が消えた

ゴーゴーに燃えていて、これ、ピザ釜じゃんという気持ち。身体を傷つけたぶんの再生本能的なもので、樹液が出てくるそうだ。

まるで口みたい。木が駄目になってしまわないのが、不思議だ。出てきた樹液をバケツにかき出す
その樹液を集めて、他の木の皮を細かくしたものにかけてかき混ぜる。これまた別の枝の皮だけ剥いで(神技だった!)、その中に詰めて保存する。

誰か混ぜるのをやってみる? と問いかけがあったけど、意外とみんな手を挙げない。結局、一番乗りでやらせてもらった。

嗅いでみると、ルームディフューザーのような上品な森の香り。樹液でベタベタになった手は、細かくした皮の中で手を揉んだらスッキリ綺麗になる!

このあとのスゴ技が、とってもびっくりした。

枝にちょっと切り込みを入れて、トントントンと刀の反対側で叩いていく。と、ポロッと皮だけが丸くくり抜いた状態で外れる(手前)。手品みたい!

すべての物事に理由があって、少しずつ森から分けてもらう感覚らしい。

都会育ちの大学生たちにとって、この伝統的な松明づくりは「YouTubeで見たことがある。知ってる知ってる」という感覚らしい。

それに対して、どこまで探究心を持って実際に触ってみるか。そんな化学反応が起きたらいい、とマイマイさんが話していて、先ほどのみんなのそこまで積極的ではない反応にも納得がいった。

おじいさんにとっては日常の営みに、私たちがスゴいと驚くことで、もっと光が当たってほしい。自信を持ってほしい。そんな意図もあるみたい。

午後は、予定を変更して、今回のlearning campをコーディネートしてくれたミエン先生のタロイモ畑へ。

今日中に取りきらないといけない、と1人抜けようとしていたので、みんなで向かうことになった。これが、助け合い(エルテイ)の精神。

この後の旅程でも、めちゃくちゃお世話になるトラクター。正直横の板が外れそうで、毎回ドキドキしながら乗っていた
トラクターでどんどん畑の奥へ

この林の中のどこに芋があるんだ?と思いながら、進んでいく。はじめは上のほうの枝が切られていて気づかなかったが、木だと思っていたものは、全部タロイモだった。どんどん林が切り開かれていく不思議な感覚。

プランテーションではないので、整然と並んではいないし、下にボーボーと草も生えている。取った後の上の枝も虫たちの餌になるからとそのまま置いてある。自然にまかせたままの姿。

落ちてる枝は、全部タロイモです
二人がかりで引っこ抜く

ずっと作業していたけど、まだまだ芋はある。「いま半分だよー」と言われて、ドッと疲れが。あと、人生で一番汗をかいている。

みんな日本の芋掘り感覚で来たので、お水をろくに持ってこず、さすがに熱中症になりそう。途中で離脱。

ベースキャンプへ帰って、みんな思い思いに過ごす。わたしは勉強も兼ねて、英語で日記を書いてみた
お母さんたちの食事の準備をみんなで見つめる。手前にドサッとあるのは、タマリンド。焼いた魚など、いろんなものを混ぜていく
夕飯の準備が進んでいく
カエルにお肉を詰めたやつ。とても美味しい
これまた具沢山のスープと、さっき混ぜて作っていたのはアモック。大学生たちも初めて食べたらしい

お腹いっぱい食べたあとは、ホテルへ戻る。

お店でよく見かける、虫刺され薬を買ってみた。パッケージが可愛い。ほぼメンソレータム

大人たちはへとへとなのに、22時半までホテルのプールに入る子どもたち。体力オバケじゃん。

8月18日(日) クラフトマンシップをどう受け継いでいくか

村への道中の風景。今日からホームステイ、こんな感じのお家かな

村のミーティングスペース(公民館のような場所)で、みんなと再会する。

まだ、顔と名前が一致していない人が多い

まず、それぞれが持参したTシャツへ、思い思いにプリントをするワークショップ。そのかたわらで、ming mingたちが食事の準備をする。

衣類用のペンキ? を日本から持ち込んでくれたらしい
葉っぱで模様を付けたり、みんな自由な感じ。書かれているクメール語は "Where are you?"という意味。カップルがよく使うやつ、と言われた

昨日一緒に練習した笹巻きの本番が始まったらしく、一緒に混ぜてもらう。奥が深くて、一心不乱に包む。ちょいちょい「ぜんぜん違う!」と直されるのが心地よい。

こちら、一大産地です
ご指導たまわる。Allクメール語だけど、雰囲気で伝わる
くるっと三角形の袋状にしたものに、お米を詰めまして
入れすぎても、入れすぎなくてもいけない。葉っぱは、詰める前に軽く拭く
大量の笹まきのようなもの。トトロの世界!

気づけば、Tシャツワークショップがもう終わっていた。みんなのTシャツがそれぞれ個性的で、やれば良かったかな?と思うなど。

乾かす、この光景、スキ
おもむろに、木登りをしてみたり
お昼はフキのようなものを煮たスープ。全部すごく優しい味なので、ちょっと唐辛子を入れるとメリハリが効いてよい

食後は、3つのグループに分かれて、さまざまな場所を見にいく。森(Farm)、鍛治(Iron Smith)、ざるやカゴ編み職人の3つ。カゴとか大好きだし、作る現場を見たかったので、わたしはざるカゴコースへ。

出発前、朝仕込んでいたちまき?をもらう。美味しい!
この葉っぱを使う。トゲがめちゃくちゃあって、職人の方たちの手も傷だらけだった!
乾燥させた葉っぱを裂いていく。くり抜いた木と割り箸と刃を輪ゴムでくくりつけた道具
細く切ったものを何度もしごいて、柔らかくする
編むのも、やらせてもらった。端っこの部分が難しそうだ。一心不乱にやれる
みんなで集合写真、犬〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

編み物工房での体験もさることながら、その後に寄った鍛治工房で職人のおじさんから聴いた話がとても切なかった。

昔は鍛治職人は、熱くて重い仕事をこなすため、コミュニティの中でも尊敬されてお金も稼いでいた。今はみんながやりたがらない仕事になってしまい、この村で唯一の職人である彼のお子さんも、継ぐつもりはないらしい。

持たせてもらったけど、すごく重かった。本当に大変な仕事だ
大学生チームが、クメール語を英語に訳して説明してくれる

同じことが日本各地でも起きていて、その解決策として全国から公募する動きもある。そんなやり方が伝わって、広まると良いなと思い、一緒に見学していた大学生に伝えてみた。

戻ってきたら、まだまだ他のチームがいなかったので、エンドレスUNO大会。ゲームは言語の壁を越える。

めちゃくちゃ盛り上がる、UNOチーム

他のチームが帰ってきた時、みんな異常なハイテンションで笑った。みんなの結束が高まっている。

Iron Smith組は1時間トラクターに揺られ、文字通りトラクターを押して川を越え、秘境のような場所にたどり着いたらしい。

なにそれ、大冒険じゃん。楽しそう。

夕飯の後は、今日の家を決める。一緒に参加した友人家族の子どもたち(中学生と高校生)は、現地の大学生チームと同じ家へ。

家が決まった〜!いぇ〜い! の瞬間

明日は満月だから、パーティーへ行こう! と、地元の人たちが集まっている場所へ。お餅つきのように米をついていた。

米を煎る、脱穀、余計な皮をふき飛ばす、の3工程。

まずは煎ります
代わる代わる、ついてみた

脱穀はming mingたちが片手でついているが、やってみるとめちゃくちゃ重い。片手なんて無理。そして、絶妙なリズムでつく様子が、ほぼ餅つき。これは、日本人有利では。

すき

ここでも、サッカー、鬼ごっこ、米つき、ただただぼーっとする組で自然に分かれる。

このときは、バレーしてるな

盆踊りのような輪が生まれて、みんなで踊る。ただし、全員ノンアル。ノンアルでこのテンションはすごい。とにかく楽しくて、ひたすら笑って最後まで踊った。

なんだか分からなくても、踊って笑い合うだけで仲良くなれる

ホームステイさせてもらうお家は、想像の10倍くらい立派できれいなお宅だった。わたしは古のバックパックで慣れっこだったけど、トイレを流すお水と同じバケツから桶で水をかけるタイプのお風呂に、びびる娘とともに入浴。何事も経験!

他のお家は、基本トイレやお風呂は外(別の建物)だったみたい

8月19日(月)  自然からのおすそ分け

朝、同じ家に泊まった英語が上手な2人は他のカンボジアチームのメンバーとたくさん話し込んでいる。わたしのリスニングスキルだと理解力が3割くらいなので、もっと話せるようになりたいなーーと、切実に思う。

なんて立派なお家、高床式のお家に泊まると思っていたから、びっくりした。朝になって、全貌がわかった
朝ごはん。この卵は、すごく日本っぽかった

今日は、みんなで森の奥深くまで行く日。ming mingたちがお弁当作りをしていたので、混ぜてもらう。バナナの葉で包むと硬くならず、ほのかに良い香りがつくらしい。

ここが、今日の一大産地
バナナの葉をいい感じの大きさに切りまして(簡単に手で裂ける)
切り取ったやつを拭きます
バナナの葉の上にどどんとご飯をのせまして
押しすぎないように、ぎゅぎゅっとやります。この量のお米を、この大鍋で上手に炊けるのがすごい
見て、リアルトトロの世界

でも、カンボジアの人曰く、このバナナの葉で包むごはんのスタイルが見られるのは田舎か都会の高級店(映え文脈で)のどちらか。それくらい、今や希少な光景になっている。

わたしは完全に生産ラインに乗り、紐を適切な長さに切って縛る役割をまっとうした。こういう没頭系の作業をひたすらやるのが好きだ。

バナナの葉はすごく柔らかくて、使いたいサイズに裂くのも簡単で、日本にもあればなーと思った。暮らしのすぐそばにある自然の一部を借りている感覚で、上手に使うクイ族の人たち。その一端をかいま見た場面だった。

日本だと、笹がバナナの葉のような役割なのだろうか。どう使うと良いのか、自分の国のことですらきちんと分かっていないので、もっと学びたいと思う。

そして、トラクターの荷台に乗って、みんなで森へ。一体どれくらいの時間がかかるのか、まったく聞かずに出発したら、多分1時間はかかった。

こんな道、通れる? って場所も突き進むトラクター

昨日のIron Smith組の大冒険を笑って聞いていたのに、今度は自分が当事者になっていた。子どもたちとは違うトラクターに乗ったが、娘に水とか渡していない。大丈夫だろうか。

わたしは、同乗した大学生が日傘をさしてくれたので、多少は快適にすごす。思えば、この旅は事前に何かのアナウンスがあることが、ほぼない。

自分でその場を見て、心地よいと思うことをする。必要だと思うものを準備して、足りなければ、誰かに助けを自分で求める。それでいい。

途中でトラクターを降りて、歩いて森をのぼる。ポツリポツリと、みんなと話しながら歩く。いろんな種類の植物や虫がいて、ひとつ一つに意味がある。鹿を呼ぶ音を鳴らす葉っぱ、吹けたときは嬉しかったな。

ようやくたどり着いた後は、待ちに待ったお弁当タイム! 杏里が好きだと言ってくれる大学生をキッカケに、大カラオケ大会が発生。

その場で拾った枝を割って、そこに魚やソーセージを挟んで焼くスタイル。すごい。準備なんて、いらないんだ
例のお弁当、ご飯ふっくらでおいしかった〜
精霊への祈りで、木に神聖なオレンジの布を巻く

泉で遊んだりした後、さらに森の奥へ進む。この時も、特にアナウンスはなかったので、ちょっとそこまで感覚で着いて行ったら、これまた30分くらい歩いた。

シティガールな大学生の1人は、トレッキング自体が初めてだった。びっくり。サンダルで来てしまい、足が痛いと話していた。

森の奥まで行くと、急に道がひらけて、キレイなお家があった。そこで暮らす家族(一世帯のみ)をお邪魔する。

話してくれるおじいちゃんの目がキラッキラで、全員と大きな声で挨拶して、通じていなくても通じていても関係なくクメール語で名前と年齢を聞いてくる。

みんなで話を伺う

彼は故郷の変化にブレーキをかけるため、こんなに森の奥で暮らして、政府や大きな会社の偉いひとが来たときに自分たちの森と共生する暮らしの説明をしているらしい。

病院へ行くのも遠くて、苦しいこともたくさんある、と涙ながらに話してくれた。それでも、自分はなにを大事に生きていきたいのかハッキリしている彼はかっこいい。

この日記は、そんなウカウカしていると忘れてしまうことを残したくて、書いている。

一見すると、緑であふれていていいじゃんと思うが。奥に広がるのは同じ木。一面、ゴム畑に変わってしまった森

帰宅後は、ホームステイ先の変更会議。みんなでの交流をもっと促進するため、シャッフルする。カンボジアの学生チームの一喜一憂ぶりがおもしろい。

だんだん、みんなの名前はもちろん、バックグラウンドや人間関係がわかってくると見える世界も変わってくる。

今日が満月
本日の部屋割り、発表〜!

8月20日(月) ただ木を植えるだけでは森にならない

昨日のハウスチェンジで、ホームステイ先のメンバーが少しだけ変わった。現地の大学生と同じ部屋になったのだが、疲れすぎてたこともあって、あまり話さないまま終了させてしまった。

彼女にとって、異国人であるわたしたちとの会話は何かしらの刺激や気づきになる可能性があるわけで、その機会を作らなかった申し訳なさを感じる。

この日は、朝からSharing Session。ここまで3日間を一緒に過ごしての想いや気づきを全員でシェアする。

だんだんお日様が照らしてくるから、徐々にみんなで日陰へ移動していく

みんながどこに気持ちを動かされて、同じ場面に立ち会ってなにを感じたのか聞く。

昨日のホームステイが一緒だった彼女は、じつは食べものの好き嫌いがすごく多いらしい。今回の参加にあたり、一番の心配はごはん。その心配は一気に吹き飛び、どの食事もすごく美味しいことがハッピーサプライズだったと話していた。

たしかに、ming mingたちが収穫してきたばかりの新鮮な野菜や肉・魚をふんだんに使って、時間をかけてじっくり作られた料理は、どれもものすごく美味しい。

ここまでの日記であまり触れていなかったが、わたしは毎回2回はお代わりをしていた。

この日のお昼も、めっちゃ美味しかった。初日、ming mingが作業していたタケノコのようなやつが、これ。左に映っている袋のものは、ふりかけに似た味で子どもたちに大人気だった

他にも、印象的なみんなの言葉を。

クイ族は、残す森、利用する森、取っておく?森と3つに分けて循環させて、森と付き合ってきた。しかし、今はこのバランスが崩れている。大きな会社の人にとっては、どの森も同じく「森」に見えている。だから、ゴム農園にしたら雇用も生まれて地域が豊かになるから良いじゃん! の発想になる。でも、彼らにとっては自分たちが所有せずにお借りしているもの。豊かな森から集めてくるさまざまなもので生活が成り立っていたが、そうではなくなっている。
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都会で暮らしていると、勉強して、仕事して、死んでいくだけだと思っていた。でも、そうではない暮らしをここで見つけた。
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自分たちの基準で良し悪しを決めない。かつて、森の下の草がボーボーに茂っていて、村の人たちが森に入りづらいだろうから、草を刈ろうか?と提案したことがあった。でも、その提案は「わたしたちにとっては邪魔かもしれないが、動物たちにとってはこの状態が快適だから必要ない」と断られた。自然と共存しているからこそ、見えている世界がある。
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クイ族のひとたちは「次に繋ぐ」姿勢が強い。見ず知らずの自分たちを大切な森の奥まで案内してくれたのは、そんな次に繋ぐ姿勢を伝えていきたいからだと感じた。
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口頭伝承で失われたものは沢山あるが、自分がここに参加することで、まさに受け継がせてもらっている感覚を持った。キレイな道筋は示されないが、一つひとつのピースをつなぎ合わせていくと見える。
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今回のような貴重な機会が成立するのは、ポストをはじめとしたコーディネーターのみんなが「地域への感謝」をベースに、関係性を紡いできたから。それがないとコミュニティには入れない。自分の地元にも同じように多世代を繋ぎ、地域との信頼関係を長年築いてきたキーパーソンがいる。それぞれのコミュニティで、この学びをどう活かすか。
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ただ木を植えるだけでは、森にはならない。植樹すれば良いんでしょ? と思うひとがいるかもしれないが、自然は絶妙なバランスで成り立っている。一度なくしてしまった森は、元には戻らない。

いま考えると、昨日あのおじいさんの家から見えたゴム農園の景色が忘れられない。彼は、毎日あの景色を見ながら生活している。そして、森を守る決意を新たにしているのではないか。

一見すると緑が広がるゴム農園。でも、それは画一的に同じ木が植えられたアンナチュラルなもの。

わたしは、自然の流れに身を任せて、みんなが自由に気ままに過ごすこの時間が心地よい。そこで思いもよらぬハーモニーやコミュニケーションが生まれるのがおもしろいと話をした。

日本では、次はアレをします。いつ何時までに⚪︎⚪︎を持って集まって、と明確に指示を出されることが多い。なるようになるさ精神で、予定変更も厭わない姿勢が気持ちいい。

お昼ごはんは、学生チームのみんなと
午後は急な雨で、しばしの休憩。これも予想外だが、雨が降れば待てばいい。
ming mingたちは、急ごしらえのタープで雨を凌いでいた。なんでもその場で作ってしまう。かっこいい

その後、マーケットへ行くチームと小学校で地元の子たちとサッカーをするチームに分かれる。わたしはトラクター。娘は、バイクの後ろに乗せてもらって大はしゃぎだった。

残っていたビールをいただく。このまま、トラクターに乗り、揺れでこぼしまくることになる

またもや、何分くらいかかるのか分からぬまま、荷台が濡れたトラクターに乗るハードルはいつも以上に高かった。難しいね、落ちそうだね、足痛いね、と笑いながら乗るのが楽しい。

イラストが描かれた校舎。トイレ綺麗だった
全員裸足でサッカーをする。足の皮膚が強い

女子たちは、ひたすら校庭でいろんな遊びをしていた。ゴム跳び、だるまさんが転んだ、追いかけっこ、K−POPダンス教室まで。最後は、ハグでお別れ。かわいかったな。

帰宅後の夜、村の男性陣が鳥をさばく現場を目の当たりにする。生まれて初めての光景。この命を頂くんだ、頂いてきたんだと実感がこみ上げる。子どもたちも、黙ってじっと見つめていた。

この日は、インターナショナルチーム(わたしたち、海外組)だけホテルへ戻る。いよいよ明日は最終日。ぜんぜん実感が湧かない。

8月21日(火) 村のフェスティバル開幕

起きたら、ほぼ出発時間。大慌てで準備して、村へ向かう。

朝ごはんを食べ損ねた! と思っていたら、村で用意されていた。これも口頭伝承だから、知っていたひとと知らなかったひとがいる(わたしは知らなかった)。

最後の日、昨日の雨で道路はぬかるんでいる
はじめての麺料理
みんな大好きで、テンションがぶち上がりです
好きなだけ草を入れて食べるスタイル。とても美味しい

今日は、この数日間お世話になった村の人たちへ恩返しをする日。昨日学生チームには、それぞれ興味のある分野で、何をやるか考える宿題が課されていた。

わたしは「アート」「ダンス」チームに所属することにした。他にもさまざまな取り組みがあるので、それらをまとめて、フェスティバルを模すことにした。

まずは大きな布を広げまして
ちょっと切り込みを入れたら、一気に手で裂く。きもちいい!
木に巻いて
一番心に残ったシーンを自由に描いていく。これは、昨日の森の風景
村の子どもたちも一緒に、好きなように描く
わたしは、満月のパーティーを
真剣に描くみんなの表情が、いい
第一段階、完成!
お祭りのシンボルとなるflagもできたから、運びます
コミュニティの入口にフェスティバルの横断幕も掲げたよ。名前は「エルテイ(助け合い)」
ダンスチームはフリ入れから。熱のこもった演技指導も入ります
途中、みんなでK-POPも踊ってあそぶ

数日前に森チームが畑で教えてもらった収穫ダンス

演技力が問われるよ

途中休憩も兼ねて、お昼ごはん。ごはんの隣にあるのは、昨日さばいていた鶏肉を使ったお料理
美味しいと絶賛していたら、アリが調味料がわりの料理だと知る。ある意味、この旅でいちばんの衝撃。
戻ってきたら、さらに絵が増えていた
みんな、タロイモ掘りがめっちゃ印象に残ってるじゃん
料理チームはさながら戦場のように仕込む
改めてming mingたちが大人数の食事を用意してくれていたありがたみ、すごさを実感。おにぎり量産タイムには、わたしも参戦

さあ、お祭りがはじまるよ!

いよいよお披露目、わたしたちダンスチームがオープニングを飾る
村の伝統ダンスを教えていただいたお礼を伝えてから、みんなでめっちゃ踊った
続いて、アートのお披露目。自分たちが忘れたくないと思ったことを書いたと説明しています
改めて、ming mingたちにも描いてもらう
この風景がだいすき
続いて、ファッションショー。音楽にのせて、みんなでキャットウォーク。最高にもりあがった!
わたしも便乗
出演したみんなで、集合写真!
音楽家による、心の声を解き放つミュージックセッション。自分の体や身の回りにあるもので音を鳴らし、歌う
ここまでの思い出ムービーを流す。お父さんお母さんたちの、誇らしそうで恥ずかしそうな顔がうれしい
友人が日本から持ってきたお菓子で、駄菓子屋開店。キャベツ太郎が最後まで売れ残っていたw
待ちに待ったご飯タイム

最後はエンドレスカラオケ大会、2時間近くずっと踊っていたらしい。

最後は、みんなと別れを惜しむ。なんて夢のような時間だったのだろう。忘れたくない。

8月22日(水) 最後のお別れ

カンボジアで過ごす、本当の最終日。

朝がんばって、1人マーケットへ
念願のざる系を買う
豊かな野菜たち

大学生チームがホテルへやってきた。みんなに会えて、うれしい。みんながみんなの名前を覚えて呼び合っていることに、マイマイさんは感激していた。

みんな、顔つきが変わった気がする。

最後も、またシェアリングセッション
みんなが一番心に残っていることを伝え合う
その日に見つけた、なにかnaturalなものを入れながら、話します

ここで、色んな気づきがあっても、明日からまたいつもの忙しい日常へ戻る。忘れたくないと思っても、心に留めておくのは難しい。だからこそ、自分が一番忘れたくないと思ったことをお互いに伝え合った。

この1週間でわたしが一番心に残ったことは、以下を伝えた。

Living in nature and living with nature. Everyone and everything are valuable, nothing to waste.

クイ族のみんながやることすべてに意味があって、なにかを所有するのではなく、森からお借りして森と共有する感覚が印象的だった。だからこそ、無駄なく使うし、食べたものは虫たちの餌にと自然へ還していく。

必要なものがあれば、森で調達してきたもので、なんでも作ってしまう。この自己効力感、包み込まれている感覚は、生きる力に変わっていく。

大学生チームと、本当のお別れ。出会えてよかった。ありがとう

帰りの機内で、写真を見返す。この時は、こんな顔をしていたな。この時は、このメンバーが一緒にいるんだなと人間関係やその人自身の変化を感じて、ほくそ笑む。

帰りももちろんフォーを食べます
ただいま、JAPAN。かわいいよキノピオ

こんな貴重な機会をくれたDoor to Asia、本当にありがとう。さまざまな国や地域でやっていく事業(2018年は東北でも開催)なので、わたしが今深く関わっている島根でもやりたいなと思った。

参加後記

訳がわからずに参加した側面が強いが、数ヶ月前にマイマイさんが説明してくれた話が参加した今なら深く納得できる。壮大な伏線回収のようだ。すごい。

マイマイさん、実際にこれがぜんぶ起きたよ!!

#海外からの参加者への期待
国内のカンボジアの人たちとともに、なんらかの表現をすることで、この街を誇りに思う人が増えること。

自分たちが教えるのではなく、効率主義や資本主義至上(都市の目線)では評価されないことから気づきを得る。その気づきが、地元の人たちにとってはそのままで良いと気付きを得る。

ベースラインは、人間として全力でその瞬間を楽しむだけ。体も心も全部持ってくるのが、最低条件。これをここまでやって〜というアウトプットの期待値は、青天井。期待の形は特にないので、過去の参加者からは、それが新しいと言われていた。

楽しんだ結果、生えてきたモノが植物になっていく。大きく目指しているのは、ずっと仲間でいられる関係性。生態系の一員になるように。

前回のカンボジア開催時は、最後にお寺でプレゼンをした。見る人、しゃべる人の距離は縮まったが、デジタル機器が入ると、距離ができてしまった。今回は、その最後の一幕さえも取り払いたい。

最終的には、performing artsだけを伝えようと思う。世代間にも橋をかけたい。すべてを超えて、みんながシームレスにウヨウヨ集まれる

ラウン(上げる)ニャクター(精霊様)というお祭りのイメージ。小さな町内の集まりのような空間が良いのではないか。

それを会期中にやることで、強烈な原体験を都市の若者に持ってほしい。都心のひとが農村に行った時の振る舞いでよくあるのが「手洗い教室」のような「できるやつプレゼン」。情報をより持っている都市が教える図式になりやすい。

すごくローカルな場所に来たが、周りを見渡すとインターナショナルな環境にしたい。思考がバグる。なんだか分からないが、細胞が覚醒したような原体験を注入したい。

自分たちがなにを経験したのか、その時は分からなくてもいい。その後に、首都(プノンペン)でプレゼンやワークショップをやって、経験を言語化する。段階的に理解して、10年くらいで理解できるといい。

カンボジアの学生のほうが「自分たちがなにを求められているか分からない」となりやすい。そうなった時に、海外から来たひとたちの方が盛り上がっていて、戸惑ってほしい。

自分たちが当たり前に思っている「大豆からなにか作っている」様子、衛生的じゃないと思っているものに対して、海外から来た年上のひとたちが興奮しておばあちゃんと一緒に盛り上がっている様子を見て、感化されてほしい。

30-40代の自分たちにできることは、10-20代と80代をつなげること。

事前打ち合わせ時のメモより

あと、めちゃくちゃ歩いていた。健康!

みんなの声まとめ

参加したみんなの感想が熱くて、みんな同じ気持ちになったんだねと思い出しニヤニヤしながら見返している。

Happy Garaje on Instagram: "I was one of around 40 participants in @doortoasia Learning Camp Cambodia. We stayed for 7 days in Kampong Thom, immersed in the community of the Kuy People. As guests, we listened to their songs, ate their food, walked their forests, danced their dances, and learned about their struggles, their hopes and beliefs. Many times over, they told us how nothing that they have belongs to them - merely borrowed from the trees and the spirits, and waterways, and the land. These are ideas that are not totally new to a person like me, a visitor from the city, but when I was there, these words felt very real amidst the vastness of the woods and under the stars that were so clear at night. -m Credits: Video by @karllucente + hom sopheak Music by @varislii and @karllucente Edited by @karllucente Art by @loonygirl @superdorkboy of @happygaraje Thank you Mai, Kato, and @agenthamyak for inviting us. 🙏🙏🙏" happygaraje on August 26, 2024: "I was one of around 40 parti www.instagram.com

door to asia in kampong thom សហគមន៍ជនជាតិដើមភាគតិចកួយ | kui indigenous community after spending a week together in the...

Posted by Sok An Leap on Sunday, August 25, 2024
Instagramのリール動画は埋め込めなかったので、これまた画像リンク形式

<DOOR to ASIA Cambodia learning Camp>*English below "その土地とのつながり、自ら繋がりを作る。" Mai...

Posted by Mikiharu Yabe on Sunday, September 1, 2024

DOOR to ASIA (DTA) Cambodia Learning Camp @doortoasia...

Posted by 平床 麻子 on Monday, August 19, 2024

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