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中学2年生でサリンジャーを読む

 すっかり英語の落ちこぼれとなった僕が中学校の目の前にあった個人塾の門を叩いたのは中学2年生になったばかりの事だった。

 英語が専門の塾長に英語についての疑問を端的に聞いてみた。

 「学校でつまらない文法を勉強してるけれど、単語の並べ方がさっぱりわからない。並べ方を教えて欲しい。」

 すると塾長は、

「中学2年生だとまだ文型を教えて貰って無いからね。文型は3年になって学習するんだけどいわば単語の並べ方の決まりです。文型が分かれば単語の位置が分かるので読む事も書く事も出来るようになるよ。心配しないでも大丈夫だよ。」

 それから僕はおよそ3カ月間、文型と英文の読み方、書き方を教えて貰い、英語は得意科目になりました。

 文型が分かったら僕の疑問はすっかり解消され、英語の授業が楽しくなりました。そして簡単な原書を読むようになりました。中学校の隣にあった図書館で「イソップ物語」や「スヌーピー」などの原書を借りて読むようになりました。

 そして、中学2年生の終わり頃に出会ったのがサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」でした。

 野崎孝氏の訳でしたが、何かしっくり来ないものがあり、どうしても原書で読みたいという思いが募り、ペイパーバックを買い読み始めたのでした。

 辞書に載っていないスラングばかりの口語体の文章に初めは慣れずに苦労しましたが、俗語辞典と英語の教師に助けて貰い、およそ1年掛けて読了したのでした。

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