「お父さん、指貸して!」
長男と次男は小学校、中学校ともに学年で上位の成績だった。
塾へ行かなくとも、分からないところは僕が教えた。
高校受験の時も受験科目は僕が指導して2人とも自分達が希望する公立の難関高に進んだ。
1番下の娘は勉強ができる事よりプリマになって欲しいという母親の夢を託され、幼児の頃から母親にバレーを習わされた。勉強なんかしないで良いからと言われた娘は迷わずバレーにのめり込んだ。元来踊ることが好きだったのだ。
中学生なると娘はバレースクールでも中心的な存在となりコンクールでも良い成績を取る様になっていた。
ある晩、娘が珍しく定期試験の勉強をしている。すると、突然娘が僕に言った。
「お父さん、指貸して!足りない!」
仰天した。娘は指を折って数を数えていたのだ。
当時、娘が悪い仲間と遊んでいた事もあり、しばらく学校を休ませて、小学校の算数から教えることにした。
まず、徹底的に百マス計算をやって計算の基礎を教えた。
ぼくが仕事に行く時も娘を連れて行き、マンツーマンで指導した。
高校受験は第一志望はダメだったが第二志望には上位で合格した。
今、その娘の子が中学3年生になって受験勉強に励んでいる。