あの子の日記 「波に飲まれて」
日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集
「海は無限に広がっていくからさ」
腰に刻んだ群青色を他人事みたいに話すあなたは、ベッドの上で寝返りをうつ。
「やめないの?」
ふらついた飛行機が鳥だと分かる距離より、道端に落ちたゴミ袋が猫だと分かる距離よりずっと近くにいるのに、あなたのことが分からない。
「お前が思ってるより広いんだよ、海って」
すこし冷えた肌に触れて、痛みの跡をなぞるだけの夜を、今日もまた繰り返す。
あたまのネジが何個か抜けちゃったので、ホームセンターで調達したいです。