あの子の日記 「知らない」
日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集
「ちょっと飲みに行こうよ」なんて、珍しいと思ったんだ。いつもと変わらず可愛らしい笑顔の君だけど、今日はなんだか違うね。
他愛もない会話が一区切りついて、冷たいハイボールを飲み干した後の一瞬に寂しそうな表情が浮かんでいた。
君は飲むペースが上がるにつれ、ゼンマイ切れのおもちゃみたいに話す速度がだんだんと遅くなっていく。お酒が悲しい気持ちを溶かしてくれないことなんて知ってるくせに、今日はたくさん飲んでしまったね。
ふらつき