アンカーよ、ありがとう
なぜ彼は走ったのか
ゴール手前、彼は全速力で走った
少なくとも私にはそう見えた
勝負は数分前に決していた
第100回箱根駅伝
彼がゴールする数分前に
青山学院大学のアンカーが
優勝のテープを切っていた
それでも彼は力を入れて走った
なぜだ
もう勝つことはできない
追ってくる者は見えない
何をどうしたって2位は決まっている
だけど彼は走る
全力で走る
意地か
自己ベストか
監督に怒られるからか
沿道の応援に応えるためか
仲間のもとに早く戻るためか
それとも君がランナーだからか
私にはわからない
だけど
なにか高貴なものを見た気がする
駒澤大学のアンカーよ
ありがとう