読書記録80 2024年6月の本まとめ
2週間風邪をこじらせ、治った後も研究や運動や免許取得にいそいそ励んでいたら今月はあまり本が読めなかった。
古典に挑戦し始めると言いつつ、100分 de 名著ブックスから抜け出せない。
1.『親愛なる八本脚の友だち』(2024) シェルビー・ヴァン・ペルト
小説ってやっぱり面白いなあと思う。
文庫本で結構な厚みがあるのだが、夢中で読んだ。マーセラスという水族館のタコと、トーヴァという70歳の清掃員、後任の30歳のキャメロン。ちょっとミステリーの要素もありつつ、タコと人間の視点が入れ替わりながら展開していく。水槽の向こうから、こちらの人間側はどう見えているのか、気になり始めた。
2.『現代語訳 論語と算盤』(2010) 渋沢栄一
心にぶっ刺さった。風邪で寝込んでいて少し回復した時に布団で読んでいたが、面白くて眠れなくなってしまった。鉛筆で線を引きながら読んだ。 芯が強くて、言っていることに一貫性があって、こうやって自分を持ってぶれない判断をしていきたいと思った。
「一言いっておきたいことは、人が調子に乗るのはよくないということだ。」 「およそどんなに些細な仕事でも、それは大きな仕事の小さな一部なのだ。これが満足にできないと、ついに全体のケジメがつかなくなってしまう。」など色々な状況に当てはまる名言が詰まっている。
3.『ぼんやりの時間』(2010) 辰濃和男
再読。風邪を引いていて、ぼんやりとやるべきこともやらずにいることに焦ったので読んだ。ぼんやりするって、このアテンションエコノミーの中ではもはや技術が必要な行為なのではないかと思えてくる。「山の中で腰を下ろして3,4時間が経っていた」とかいう記述が出てくるのだが、一体何時間、いや何分ぼんやりしていられれるだろうかとから恐ろしくなった。何かしていないと落ち着かないのは、現代病だなと思う。
4.『NHK「100分 de 名著」ブックス アドラー 人生の意味の心理学』(2018) 岸見一郎
承認欲求について興味を持ったので、読んでみた。飲み会などでいてもいなくてもいい存在だと思って嫌な気持ちになったのは、「自分が世界の中心にいたい」という誤った欲求を持っているからだと気がついた。承認欲求から脱却するための方法が紹介されている。①他者に関心を持つこと②他者は自分の期待を満たすために生きているのではないと知ること③課題の分離。③の課題の分離は、その問題が自分の課題なのか、他者の課題なのか切り分けることで、例えば親が子供に「勉強しなさい」というのは、本来子供の課題を親が分離できずに踏み込んでいると言える。課題を分離すれば、他人の自分への評価はどうすることもできないということが理解できるそうだ。今度は「他者に興味を持つこと」とは何かに興味が出てきた。
5.『君のクイズ』(2022) 小川哲
BSテレ東で木曜10時からやっている「あの本、読みました?」を見るのが毎週の楽しみで、今月は小川哲がゲストで出ていた。その話を聞いてから読むと、作者の話し方で地の文が再生された。帯の煽りが過剰で、ハードルを高くしすぎている気がするが、普通に面白いと思う。