読書記録26『太陽と乙女』森見登美彦
こんにちは、だるまです。久々に森見的文章にずぶ濡れになり、大変心地よいです。終わってしまったのが悲しいです。
まえがき
この本は、森見登美彦が書いた小説以外の文章がほとんど収められているエッセイ集です。2003年から2017年まで長期スパンなため、テンションの違いやうまくいっていない時の葛藤など様々な場面を楽しむことができます。
この本で何より嬉しかったのは、森見登美彦も「なんでもノート」をつけているということです!尊敬する小説家が同じことをしているなんてとても素晴らしいことです。
それでは、だるまの「なんでもノート」にメモした面白かった部分を紹介していきたいと思います。
好きなところ
・森見登美彦がコナン・ドイルについて述べた部分
「ホームズのロンドンとは、コナン・ドイルが夢見たロンドンである。その妄想力があまりにも強いために、我々はドイルが夢見た世界をまた夢見る。」
これを読んで、まさに我々は「森見登美彦が夢見た京都をまた夢見る」のだと思いました。虚構の「もう一つの京都」を旅するのです。
・子供のころについて述べた部分
「子どもというものは、『自分では説明できないけれど妙に執着がある』という対象を持っている。」
ちなみに森見登美彦は「広々とした場所にぽつんと何かがある」情景に執着があったそうです。
翻ってだるまはどんな子どもだったろうと思い返すわけですが、あまり思い出せない。この部分に限らず子供時代を振り返った記述が多いのですが、そんなにおじさんになってから思い出すものでしょうか。おじさんではないかもしれないけれど。半ばフィクションであろうと思います。
唯一思い出せるのは「鉛筆の背比べ」。
小学生の時、一本一本さして並べるタイプの筆箱を使っていました。毎日使った鉛筆をぴんっと削って、その都度背の順に並べ、高い順に次の日使っていました。つまり、妙に背の高いやつや低いやつが現れないよう、均一化を図っていたのです。随分な平和主義者でした。
確かにこんな風に思い出していけばオモチロイものが書けるかもしれません。
・「お詫びしたい」で全然お詫びする気のない登美彦氏
「なぜ私はこんな人間になってしまったのか。おそらく幼少期のつらい経験に起因するのであろう。あの暑い夏の日、小学校からの帰り道、ランドセルに入れていたヨーグルトが爆発した恐ろしい記憶が、私の性根をねじ曲げて、ついにはこんな嘘つき野郎にしてしまったのだ。」(中略)「この短文の中で、また私は嘘をついたことをお詫びしたい。」
何度読んでも、ヨーグルトが爆発した部分で腹筋が痛くなってしまうのはだるまだけでしょうか。どうしてもその場面を想像してしまって、笑いが止まりません。幼き登美彦氏、背中で爆発するようヨーグルト。驚き慄く少年。面白きことは良きことかな。
おわりに
今あげた以外にも面白きところがたくさんあります。何より小説以外の森見登美彦が盛りだくさんです。もりもりです。
何度も読んで楽しめるエッセイ集、ぜひご一読を。
かしこ
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