【内容一部公開】メンテナンス活動の最適化に役立つ!――近刊『実務者のための 製品・設備のライフサイクルメンテナンス入門』
2024年12月中旬発行の新刊書籍、『実務者のための 製品・設備のライフサイクルメンテナンス入門』のご紹介です。
同書の一部を、発行に先駆けて公開します。
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まえがき
資源・環境問題の深刻化に対処するために、サーキュラーエコノミーが提唱されている。その行動計画の中では、製品・設備の価値をできるだけ長く維持し廃棄物を最小化する社会が目指されている。そのためには、製品・設備の状態を的確に把握し、将来の変化の予測に基づいて適切な対応策を計画・実行するとともに、その結果の評価に応じて改善を繰り返すことによって、製品・設備のライフサイクルを通じた環境負荷、資源消費、コストを抑え、創出する価値を最大化することが必要である。メンテナンスはまさにそのための活動である。
このように、メンテナンスはライフサイクル管理における主要な活動として位置づけられるが、それは多くの技術によって支えられている。しかし、これまでのメンテナンスに関する書籍を見ると、たとえば異常検知・診断技術など、個々の技術について解説するものは多く存在するが、計画から実行、評価、改善までのメンテナンス活動全般にかかわる技術については、特定分野または特定の製品・設備に特化したものはあるものの、一般的、総合的立場から解説した書籍は少ない。
そのような状況を踏まえ、自らが携わっているメンテナンス活動を改めて見直したいという人や、これからメンテナンスの実務や研究に携わろうとしている人にとって最低限必要と考えられる基本的な事項をまとめたのが本書である。
これまで、メンテナンスについては、対象製品・設備ごと、あるいは分野ごとに議論されることが多く、技術や知識の共有化が進まないという問題があった。そこで、本書では、特定の製品や設備を前提としないメンテナンス技術の体系化を目指した(著者のバックグラウンドから事例が機械系の製品・設備に偏ってはいるが)。もちろん、製品・設備の種類や分野ごとにメンテナンスの考え方や適用すべき技術に違いは存在するが、それがどのような劣化・故障の特性やそれらの影響の特徴によっているのかを明らかにすることで、一般性のある議論が可能になると考えた。
また、実際のメンテナンス活動においては、個々の技術を理解するだけでなく、それらをどのように組み合わせて適用すればよいのかというメンテナンスマネジメントの観点での議論が必要である。最近の言葉でいえば、Prescriptive Maintenanceを目指すということだが、そのために、基本メンテナンス計画手法やライフサイクルの各段階で生じるマネジメント課題の例示にも紙面を割いた。
(後略)
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様々な製品や設備を対象として、どのように最適なメンテナンス計画を立案・実施すればよいか、その考え方や必要な基礎知識を解説します。
家電製品から加工機械、生産プラントに至るまで、規模も使われ方も異なる多種多様な製品・設備のメンテナンスに適用できるよう、体系的な指針を示すとともに、各種のフローチャートや具体的な計算例を用いて、実際の手順をわかりやすく説明しています。
個々の担当者レベルでの最適化に留まりがちだった従来のメンテナンスを脱し、統一された観点で組織的・効率的なメンテナンスを目指すうえでも、関係者必携の1冊です。