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『神奈川県藤沢市、犯罪スポット体験学習VR教材を制作。交通事故防止にweb3型UGCも応用可能』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.4.4

■犯罪起きやすいスポットはどこ?藤沢市、全国初の体験学習VR制作

藤沢市は犯罪が起こりやすい場所に着目し、犯罪の未然防止につなげる「犯罪機会論」に基づく「防犯体験学習VR(仮想現実)」を制作した。

「VR×教材」は相性が良いですね。

・教本ビデオの一種として決裁者の理解が得やすい
・VRの臨場感で教育内容が伝わりやすい
・VRゴーグルが教室に備え付ける数だけあればよく、市場普及率の低さは関係ない

など、用途との相性も予算も含めた制作環境との相性もよいと思います。


メタバースは跳ねず。当面B2B向けが主力市場か

教材分野はゲームと並んでVRゴーグル用コンテンツの主力市場のひとつになると思います。

VRゴーグルがマイナーでニッチなゲーム機以上に一般普及する可能性が薄そうな現状、VRゴーグル向けコンテンツは昨年期待されたコンシューマ向けの「メタバース」ではなく、B2B向けをメインとして地力を蓄えデバイス普及の転換時期を待つことになるのでしょう。


犯罪機会論とVRの相性の良さ

犯罪機会論は不審者などの人ではなく、犯罪者が選ぶホットスポットを特定し、犯罪発生のリスクを予測して未然防止につなげる理論。
(中略)
VRでは市内の道路、公園、海岸など実際の風景を映像化。小宮教授の助手という想定のキャラクター「コミリス」が登場し、クイズ形式で犯罪者が入りやすく逃げやすい場所やコンクリート、ブロック塀に囲まれ周辺の家屋から見えにくい場所を360度見回しながら特定してもらう内容。

今回の神奈川県藤沢市での取り組みはVR技術を防犯教育に活かそうというものです。特に犯罪者が選びがちな場所を、実際の場所を例に取ってVR教材化しています。

多くの自治体で地域安全マップなど犯罪が起きた場所と発生した犯罪の種類を地図にプロットしていく取り組みが行われています。しかし地図にプロットしただけだと統計情報に留まります。

地域安全マップを作った自治体も、マップを見た市民も、この辺がひったくり事件が多いんだな、と思うだけで、あの地域は危ない場所だと漠然と思うだけになるかもしれません。

自治体が実際の場所を例に取って犯罪の起きやすい状況と理由をVRコンテンツ化するという営みを通じて、市民はVRコンテンツで防犯教育を学べるのはもちろん、自治体は犯罪発生の原因を知り対策を打つことにもつながります。

実際の場所を例に取ったVRコンテンツなら、360度見回して犯罪者が隠れがちな場所が死角になっていることを実際に目視で確認できます。ビデオや教本で知識だけ得るより実践的で、何度かVRで訓練すれば違う街でも「ここに犯罪者が潜みがち」という嗅覚が身につくだろうと思います。


運転免許の事故講習がもっと身近

地元を知っている自治体が、事件事故が多い場所を例に取り、VRという臨場体験装置を使った教育コンテンツを作る。

というフォーマットで真っ先に思い浮かぶのが運転免許の更新にまつわる教則ビデオです。

全国一律の汎用ビデオを、見ているでもなく時間を過ごすだけの人も多いあの講習を、実際に事故を抑止する実効性の高いものにするのにVR教材は良さそうです。

交通事故マップは自治体が作成しています。
そこで起きがちな事故の類型もデータが揃っています。

犯罪機会論と発想は同じで、運転者ではなく事故が起きやすい場所の方に注目します。

事故が起きやすい場所には原因があります。見通しが悪い、スピードが出がち、歩行者側が一時停止しにくいなどなど。そういう場所を具体的に特定して各地ごとにVRコンテンツが作られ、免許更新の講習で使われれば事故は減るはずです。運転者の意識と知識が変わることはもちろん、事故が起きやすい場所に対策を打たれやすくもなるからです。


web3的Earn報酬でVR事故防止コンテンツを作る案

予算は課題です。
しかしやりようもあると思います。市民参加型コンテンツ制作で実現する方法もあると思います。ある意味、非中央集権型です。

教則ビデオは公募と入札で作成されている中央集権型ですが、制作されるとアップデートが年単位で遅いのも弊害です。新たに事故スポットと事故類型が見つかれば随時コンテンツが追加・更新されるようなやり方の方が事故防止には実効的です。

VR教材だけでなくARにもニーズがあります。ARであれば事故現場に差し掛かった時にクルマのナビ画面やスマホでAR映像として警告を出すこともできます。

VRやARのコンテンツを簡単に制作できるスマホアプリを使って、市民を巻き込んでコンテンツを制作。有効なものに対してEarn報酬を与えるようなweb3的な取り組みは今後あり得ると思います。

Earn原資は自治体や自動車メーカー、自動車保険会社などが想定されます。事故が抑止できたら経済損失も大きく減らせるわけで、かなり現実的な社会課題解決型ソリューションになりそうです。

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