微生物が発酵するちからで染める!江戸時代からつづく本物の藍染め
こんにちは。
先月末、徳島県の藍住町という町へ、藍染の勉強をしに行ってまいりました。
藍染には、いろいろな染め方がありますが、今回の研修先は天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)という、江戸時代からつづく技法を受け継いでいる工房でした。
ここでの藍建て(藍染の液をつくること)は、10日間かけて、藍甕の中を発酵させることで、物質を変化させ、青色に染まる状態までもっていくという流れです。材料のひとつに、藍の乾燥葉を100日間かけて発酵させた蒅(すくも)というものがありますが、わたしには、そこにいた微生物が、小麦のふすまや、日本酒などの栄養によって、活性化し、日に日に元気になってくるさまがとても神秘的でした。液の色や香り、ねばりなどの状態がめまぐるしく変化していくんですね。まちがいなく、そこには微生物がいて、生きていて、それによって人間が恩恵をうける。日本っぽいなぁと思いました。世界には、青を染めるにはいろいろな手法がありますが、藍の葉を発酵させたものを使用するのは非常にめずらしいことのようです。納豆や、ぬかづけや、味噌や醤油という日々の生活と切ってはきりはなせないものの多くは微生物による発酵によって成り立っているわけですが、江戸時代、庶民にも多く普及していた藍染も発酵だったのか~。植物と、発酵つまり微生物によって、青色に染めることができるって、なんだか神秘的で、不思議でした。
研修中は、染める作業を見学させていただいたり、自分で染めたりもさせていただいたのですが、ただただ、感動していました。記録も含めて、ぐっときたポイントをまとめておこうと思います。
1.すべての工程で水をよごさない。そして、皮膚にいい。
材料は、すべて天然素材100%、色止めも使いません。なので、液をなめることができます。わたしも実際に何度か口に運びました。また、染めたいものを液にひたしたあと、空気にふれさせて、発色させたあと、水あらいをします。この水もやがては川、そして海へ到達するわけですが、何の問題もありません。天然灰汁発酵建てで建てた藍の液には、皮膚の状態をよくする成分があるそうで、むしろお魚の皮膚病に効果的だとか。。。実は、研修に行くとき右手のくすり指だけ2,3カ月の間荒れては、かゆくなって、掻いて血が出て、治って、また荒れてというループだったのですが、工房で手袋なしで藍染をしたあとは、きれいに治りました。そして、まだ再発してません。びっくりしています。
2.色が落ちにくい。そしてメンテが楽。
天然灰汁発酵建てで染めたものは、色がおちません。ちょうど滞在中に、10年前に今回おじゃました工房で染めたというTシャツを着た方としゃべる機会があったのですが、え?本当に?というくらい色が落ちていませんでした。洗い方も、個別に手洗いで、とかではなかく、一般的な洗濯方法でほかのものと一緒に洗濯しているとのことでした。メンテナンスが楽であること、重要ですよね。
3.消臭効果がある。
天然灰汁発酵建てで染めたものは、藍独特の香りがついています。わたしは、ハイドロなどの薬剤を使って染める方法しかやらなかったので、この香りを嗅いだのははじめてでした。なんともいえない香りです。嗅いだことがないから、表現のしようがないという感じです。愛の館という施設の近くに、天然灰汁発酵建てでそめられたものがずら~っと並んでいるお店があるのですが、そのお店にはいった瞬間、その香りがします。天然灰汁発酵建てでそめたものには、いろんな効果があるんだよと聞いたことがありますが、香りを嗅いだ瞬間納得でした。天然灰汁発酵建ての液の青色の色素は、ほんの数%らしいです。なので逆にいうとほとんどが、言ってしまえば不純物、見方を変えれば、微生物とその他って感じです。なので、ここがミソだとおもうのです。その色素以外のところに、消臭だったり、虫よけだったり、肌の状態をよくしたり、あたためる成分だったりが含まれているわけです。なんだか、感慨深いです。長くなってしまいましたが、研修におじゃましたのは、6月の末でした。後半は毎日雨でした。天然灰汁発酵建てのタオルを購入しまして、自転車のサドルをふいたり、体についた水滴をふいたりして、実験的にカバンの中にいれたままで、1度も洗わず繰り返しつかってしましたが、梅雨特有のいやなにおいは一切しないまま終わりました。これも消臭効果かぁ、と感じました。自分で藍を建てたときは、下着や洋服、バスタオルなんかを染めて梅雨の時期に部屋干しなどしてどうなるか実験したいなぁと思っています。
4.最後には最高に良い肥料となる。
天然灰汁発酵建てでつくった液は、微生物が発酵することによって、染められる状態になっていると申しましたが、生き物によって染められる状態に保たれているので、微生物の元気がなくなったら、寿命をむかえます。ただ、天然灰汁発酵建ての液は、すべて天然素材ですから、甕の中すべてを畑にかえすことができます。微生物がいますから、最高にいい肥料になります。すべて天然素材100%だからできることです。藍の乾燥葉を100日かけて発酵させたすくもづくりのプロセスから、藍を建てる(藍染の液をつくる)、染める、洗うというすべてのプロセスにおいて、土に還らないものがない。こんな気持ちいいこと、ありますでしょうか??わかってはいましたが、やはり実際に、自分の手で液にふれたり、液をなめたりすることで、体で理解しました。
もともとわたしは菌が大好きです。発酵食品の多い日本人にとって菌という存在は、切っても切り離せないものだと感じています。人間の腸には、2kgほどの菌がいるそうです。まだまだ、解明がすすんでいないこともあるようです。でも、人間の健康維持には、必要不可欠な存在であることは間違いありません。わたしの好きなビール、納豆、パンも菌がいるからこそ。ぼやぁっと、ライフワークとして、菌とかかわる何かがしたいなぁと思っていました。見つけちゃいました!!微生物の力で染める藍染!!天然灰汁発酵建てでの菌の役割の1つとしては、水に溶けない藍の成分を水に溶けるようにする、それによって染められる物質に変化して、青に染まる。最近柿渋染めもしていますが、これも柿が発酵した液です。柿渋染も、殺菌や消臭の効果があったりますが、これも結局、菌のしわざに思えてなりません。すごいです!菌!
現在、住むための小屋と、工房を建てる作業場を開墾中です。敷地内には、竹がたくさんありまして、今年中にそれを切って、ユンボ?とかで地下茎をある程度ほりおこすというところまでできたらいいなぁと思っています。今回研修に行って、今自分のやるべきことは、竹を切ることだ!土地を整備することだということを再確認しました。さぁ、がんばるぞ~~~~~
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