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読書録「世界一子どもを育てやすい国にしよう」 ◎就学前教育が人生を決める

 前回の記事の続きです。

 「人生を決める」というのは大袈裟な気もしますが、日本と海外の教育スタイルを比較してみると、なるほど!と思う部分がありました。



 日本の場合、『基本、義務教育は小学校からなので、それまでの幼児期は「親がみる」ことが当たり前でした。しかし欧米では研究が進み、就学前にさまざまな能力が決まるとわかってきたので、20年ほど前から就学前教育にとても力を入れています。

 『有名なのは、シカゴ大学のヘックマン教授によるペリー就学前プロジェクトの研究です。1960年代にミシガン州で、貧困家庭の子どもたちのうち58人を対象に、質の高い保育を提供、その後長期に渡り追跡調査を実施したものです。』

 『日本の保育園のようなものですが、子ども6人に対し先生がひとりという少人数制で、週に5日午前中に約2時間半ずつ教室で読み書きや歌や絵を書いたりして過ごし、週に一度は1時間半の家庭訪問をするというものです。先生は、大学で教育を受けた人たちがつきました。』

 『貧困家庭の子どもたちなので、親の教育水準が低く、言葉づかいも悪かったり、食事も3食とることができていない家庭が多く見られます。そういう人たちの中で、良質な教育を受けた人(58人)と受けていない人(65人)を40年ほど調査し、比較しました。追跡できるのがアメリカのすごいところですが、どういう結果が出たと思いますか?
 良質な教育を受けた人の方が、生活保護率が低かった。年収が高かった。失業率も低かった。生活保護家庭も犯罪者も少ないので、優位に行政コストを下げる結果となったのです。




 『日本では、いい大学に入ればその後の人生がよくなると思い込んでいる人が多いように見受けられますが、その期待を裏切る結果ですね。』
 『そうなんです。じつは、幼児期の投資に最も人生に効果がある。成長する段階で徐々に落ちていき、成人での職業訓練が一番効果が低くなります。
 それなのに、日本の政府は大人になってからのところを一生懸命やっている。





 『教育を受けたアメリカの貧困家庭の子どもたちは、どんな能力が上がったのか。つぶさに見ていくと、意外なことがわかってきました。
 IQに関しては、教育を受けた当初は上がりましたが、小学校低学年くらいで、教育を受けていない子と同じくらいにそろいます。つまり、たくさん単語を覚えられるとか、計算ができるという「認知能力」が上がったのではありませんでした。』

 『明らかに向上していたのは、その影にある「非認知能力」です。何かというと、物事をやり抜く力、興味を持って集中する力、友達同士仲良くする力、人の気持ちがわかる力…。そういう能力が向上し、持続していくことがわかったのです。
 特に高かったのは、物事をやり抜く力。
これが子どもたちの将来を左右したというのは、「自制する」ことや「努力を積み重ねる」ことのほうが、単語を覚えるよりもはるかに重要だという証明です。』

 



 
 まだまだ赤ちゃんのように可愛い幼児期も、お母さんと一緒にいることだけが子どもの将来を明るくするとは限らないな〜と思いました。
 うちの息子(3歳)も1歳前から保育園に通っていますが、幼い頃から多くの同世代の子や大人と関わることで、小さい彼なりの社会を学んでいるのかも、と思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!
 次回も続きます!



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