木製のパズルやゲームの開発に熱中して Development Story of Wooden Puzzles & Games (第7話)
第7章 転がしても崩れないダイスパズル
1、3X 組み木ダイスパズル
1)、ダイスパズルとの出会い
2018年のSOMA NewsにTheo's spotted cubesの一つとしてdice SOMA cubeが紹介されていた。240ほどある解をユニーク(単一)解にする手段である。しかし、7個のSOMAピースではダイスとして転がしたら崩れてしまう。
そこで、転がしてもくずれないダイスパズルを開発することにした。
はじめは、寸法精度を上げて凹凸の嵌合を中心に試作したが、時間がたつと木材の収縮で緩んでしまい、何回も転がしたら崩れてしまった。
しかし、組立てパズルとしては、ダイスの特徴である「サイの目とそれを反対面と合わせた数は7である」ことは、組み立てる時の大きなヒントになる。
また、塗装することでもこの問題は解決できた。全面塗装で、色の濃いユニットをサイの目とした[3Xカラーダイスパズル]である。 しかし、塗装しない場合は3次元ピースを主にした組み木技法を習得する必要がある。
2)、新製品[3X組み木ダイスパズル]
3次元ピースを主とした開発に当たってはピースのユニット数のユニークさにこだわった。断らない限り、すべて形状の異なるピースの組み合わせである。
① トリプル9 3Xダイスパズル
② トリプル8+3 3Xダイスパズル
③ トリプル7プラス6 3Xダイスパズル
④ トリプル7プラス5 3Xダイスパズル(1ホール)
⑤ ダブル10プラス7、ツイン11(同形)プラス5、ツイン12(同形)プラス3、鏡面対称形13 3Xダイスパズル
⑥ シリアル5678、シリアル8、9、10(2セット)、ワンジャンプ7、9、11(2セット)3Xダイスパズル
⑦ 中心棒シリーズ
・ クアドラプル6プラス3、シリアル789プラス3、トリプル8プラス3、ツイン12 3Xダイスパズル
・ ワンジャンプ6、8、10プラス3(2セット) 3Xダイスパズル
3)3セットのピースをごちゃ混ぜにして3個のダイスを組み立てる難問?
① ラッキー777プラス6 3セット(その1)
② ラッキー777プラス6 3セット(その2)
③ トリプル9 任意の3セットまたは5セット
④ (参考) ラッキー777プラスα (①、②を含む10セット)
赤、白、青、緑、黄のシールが同じ形なので、33種類のピースで10セットを組み立てている。
2、4X組み木ダイスパズル
1)Coffin氏作品のモデファイ
4Xキューブのダイスパズルは各サイの目が分割されるため、解のヒントとしては分かり易くなる。
開発に当たってはパズルコレクターの[たに~]氏にTwitterで紹介してもらったCoffin氏のInterlocking Cube[Convolution]をヒントに、9~10ユニットの7ピースを8ユニットの8ピースにモデファイすることにした。名称由来の回転ピースは敬意を表して使わないことにしたが、完成するまでに実働でほぼ1か月を要した。あたり前だが、同一形状のピースは一つもなく、組立て最終の貫通ピースを内側に移動できたので、スマートな改良新製品になったと自負している。
2)、オリジナル4X組み木ダイスパズル
先に紹介した新製品[4X組み木ダイスパズル]は開発に当たってCoffin氏の7ピース(9ユニット6個+10ユニット1個)をヒントに8ユニットの8ピースにモデファイしたと述べたが、石野恵一郎氏の「ちょいとパズルでも」のリストを調べてみると、1991年に柳瀬順一氏が4種類の8ユニット8ピースのInterlocking Cubeを開発されていた。これらがすごいのは30個の異なる形状で4セットをつくられている、つまり、#3だけが2個ダブっているだけなのである。
先の著者の作品はすべてが30種類とは異なる形状であったが、予想していた通り、組み木としては著者のレベルが低いのが幸いしていたようだ。
今回、第2弾として発表する同じく8ユニット、8ピースの4Xダイスパズルについては、柳瀬氏の#2と3ピースが同一形状であったが、5ピースが30種以外の新形状であった。
#2は組立時に3か所Moveが必要だが、私は「出来るだけ易しく」したいのでNo Moveとしている。
また、ダイスパズルなので分割されたサイの目を合わせれば、組み立てがより易しくなる。
サイの目は手作りのゴム印で、インクはシャチハタTATである。
市販の場合はレーザー加工に変更してもよい。
本章の組み木ダイスパズルは特許出願しないで公開するが、著作権は留保する。
(第8話に続く)