木製のパズルやゲームの開発に熱中して Development Story of Wooden Puzzles & Games (第9話)
第9章 数式キューブとの出会い
1、3 cube + 4 cube +5 cube = 6 cube
cube が立方体の意味ならこの等式は成り立たないが、複数(cubes)ではないのでおわかりのようにcubeには立方、三乗の意味がある。
(3の3乗)+(4の3乗)+(5の3乗)=(6の3乗)の数式を英訳すると表題になる不思議さ。つまり、Cube Puzzle で具現出来ることを暗示しているようだ。
数学において(aの2乗)+(bの2乗)=(cの2乗)はピタゴラスの定理で知られているが、(aの3乗)+(bの3乗)=(cの3乗) はフェルマーの最終定理によって、この式の a、b、c の自然数解は存在しない。この定理はフェルマーの死後330年にわたって証明を試されてきたが、1995年にワイルスによって完全に証明されたそうだ。
ところが、(aの3乗)+(bの3乗)+(cの3乗)=(dの3乗)の a、b、c、dの自然数解は一桁の自然数の中に連続して存在したのだ。
(3の3乗)+(4の3乗)+(5の3乗)=(6の3乗)の数式をキューブパズルにした、6Xのキューブの構成ピースを使って3Xと4Xと5X のキューブを組み立てる。
これを1961年に最初に公表したのがWhieeler であるとブログ[Puzzle of MINE]で植松氏が紹介されている。
しかし、8ピースで3Xのキューブはそのままだったそうで、氏自身も2008年に直方体を含まない8ピースを考案されているが、パズルとしてはピースの数が少ない。
本格的なパズルはこれより前(2000年)に春秋工舎(有)の荻野氏の特許がある。
特許3078263号
これは35種類の6-C(キューブ)から直線状の1個(5Xで使用できない)だけを外し、代わりに直線状の3-C、4-C、5-Cを追加して数を合わせた37個のピースで、特許にふさわしい感動的な発明である。
そこで、筆者は6-C以下の大きさで、直線状など直方体を含まない組合せや3-Cの3次元形状を含む、よりピースの数の多い組合せに挑戦してみることにした。
1)、試作品(その1)
6―C以下の大きさのすべて形状の異なる平面型ポリキューブに限定。ただし、線形など直方体の形状は除外する。また、数合わせの関係で5-C 2個と6-C 7個も除外した。
使用ピースは以下の39個である。
3-C 1
4-C 3
5-C 9
6―C 26
内訳は
3X;4-C 1、5-C 1 6-C 3
4X;3-C 1、4-C 1 5-C 3、6-C 7
5X;4-C 1、5-C 5 6-C 16
2)、試作品(その2)
3ーC以上、6-C以下の大きさの形状の異なるポリキューブに限定。
直線状、直方体、3次元形状を含む。
使用ピースは以下の44個である。
3-C 2
4-C 8
5-C 26
6-C 8
内訳は
3X;3-C 2、4-C 1、5-C 1、6-C 2
4X;4-C 7、5-C 6、6-C 1
5X;5-C 19、6-C 5
3)、試作品(その3)
6-C以下の大きさのすべて形状の異なる平面型ポリ(モノ)キューブに限定。線形など直方体の形状も含む。
使用ピースは以下の42個である。
1―C 1
2-C 1
3-C 2
4-C 5
5-C 11
6-C 22
内訳は
3X;4-C 1、5-C 1、6-C 3
4X;3-C 1、4-C 1、5-C 3、6-C 7
5X;1-C 1、2-C 1、3-C 1、4-C 3、
5-C 7、6-C 12
2、数式キューブをゴールデントリオで挑戦
前章のスライスキューブの開発で紹介した、6-C 以下1=C までの42ピースのセレクションをベースに、3Xと4Xと5Xのスライスキューブを同時に組み立てることに挑戦した。
しかし、2か月以上悪戦苦闘したがどうしても解決できない。
これまでも、キャビティキューブの対角線対称ピースなど、あるかないかわからないものをあると信じて、試行錯誤して見つけ出してきたが、今回はこれだけ時間をかけてもダメなので、無理だと感じた。
仕方なく、封印してきた最後の手段を使うことにした。7-Cの投入だ。
6-C 3ピースと5-C 2ピースを7-C 4ピースに変更した。
1)、6X=3X+4X+5X ゴールデントリオ
7-C以下の大きさのすべて形状の異なる平面型ポリ(モノ)キューブ(線形など直方体の形状も含む)。
6X使用ピースは以下の41個である。
1―C 1
2-C 1
3-C 2
4-C 5
5-C 9
6-C 19
7-C 4
(3X、4X、5Xの内訳は省略する。)
① 6Xのゴールデントリオ
ランダムキューブは6方向カラー識別している。
キャビティキューブは入れ子まで組み立てる。
② 3X+4X+5Xのゴールデントリオ
ランダムキューブの4Xと5Xは6方向カラーシールで識別している。
キャビティキューブの3Xと4Xの入れ子は1-Cが欠かせないが、5Xで使っているので、入れ子なしとなる。
③ (おまけ)4Xのゴールデントリオ
④ (おまけ) 3Xのゴールデントリオ+5Xランダムキューブ
(3Xのゴールデントリオ+5Xスライスキューブは省略)
⑤ (おまけ)5Xキャビティキューブ 2セット
(余りのピースはキャビティに収納できる。)
以上、思い描いた通りの究極とも思える数式キューブのゴールデントリオが完成した。
(第10話に続く)