はらぺこなあおむしでありたい
エリック・カールさんが旅立たれてしまった…
彼の絵本はとても色彩豊かで面白く、それこそ何冊も持っている。美術教師になってからの影響が大きいが、特に表現者として心の師匠(勝手に思っているだけですが)だと思っていた。
授業で、彼のコラージュの技法を使った題材を展開していた時もあって、あれは僕の中での定番ネタのひとつでした。
(以下、過去の授業の記録)
美術I選択者みんなで、まずはコラージュ用の色紙を作成する。
A4サイズのトレーシングペーパーにアクリル絵の具を塗りたくり、いろんなテクスチュアの色紙をとにかく量産していく。
色紙が用意できたら、次に絵のモチーフを考えていくのだが、そこも遊びの要素を入れていく。
ひらがな(46文字)、英字(26文字)、数字(0〜9)の合計82枚のカードを用意し、くじ引きの要領でランダムに引いていく。
引いたカードの字からテーマを設定し、イラストを作成していく。
例えば、「か」だったら「かえる」といった要領で。
画像は、クジで余った「8」を、僕が作った「ハチの8の字ダンス」
最後、全員の作品を並べてみると、なかなか圧巻でした。
作者名は伏せて、他のクラスの人の作品も一緒に掲示したので、フラットに鑑賞することができ、それもまたよかったと思う。
このコラージュの授業は、エリックの手法をなぞってはいるんだけど、まずみんなで色紙を作る、という所で、「自分だけ」の素材を作るのでなく、自分で作ったものも他人が作ったものも等価なものとして関係なしに色味ごとに分類しておいて、あとでそれらを誰が作ったとか関係なしに単に素材として扱っていくことが、ひとつのミソだった。
そして、構想のきっかけも「クジ」によるフラットな条件のもとスタートするようにした。
後は、それぞれの作画の段階で、目の前にある「素材」をどう組み合わせて行くのかという所で楽しむ流れになっている。
「ブリコラージュ」という考え方がその頃の僕の中でのキーワードであった。
あらかじめ思い描いた完成図に向かって進めていくのではなく、与えられた環境の中で試行錯誤しながら組み立てていく、みたいなところを楽しもうとしていたんだと思う。
そういう意味で、エリックの考え方に寄り添いつつ展開できた題材だったと思っている。
レオ・レオーニやエリック・カールと言った先達が僕の憧れの存在。
彼らのような仕事に少しでも近づけるように、僕も「はらぺこなあおむし」でいたいと思う。