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専門家(コーチ)は視点が偏る|師匠から教わった指導者の在り方
今回は
人に何か伝える時のコツの一つ、
「視点の偏り」についてです。
水泳指導だけでなく、
日々の生活でも
役に立つ内容ですので
是非、参考にされて下さい。
私の師匠が
当時良く言っていたことが
3つあります。
①
我々、水泳の“専門家”である以上、
“視点の偏り”は必ず起こる。
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人の持つ「専門性」とは、
深くなればなるほど、
視点や考え方も偏るものです。
もちろん、
趣味嗜好が偏っていたり、
育ってきた環境が
他と変わっていたり、
“オタク”と呼ばれる人も
物事との捉え方や
感じ方が偏るわけです。
何故か、みんなと
同じことを聞いても
「偏りが強い人」だけは
全く違うものと認識、
そして理解してしまうのです。
これはちゃんと
話を聞いているorいないだけの問題ではなく、
人には思い込み(スキーマ)があるからです。
②
自分には思い込みがある
…ということを、専門家は
特に理解しておかなくていけない。
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誰もが、
自分とは違う方向に
偏った知識や関心、
専門性を持っています。
そのような多くの人達に
自分の偏った知識を
どのように伝えていくか?
…が、我々コーチの課題です。
皆さんから見たら
「泳げる」というのが専門性なの知れませんが、
我々コーチから見たら
「泳げない」というのも専門性なんです。
なので、
お互いの専門性を
理解し合おうとしている
コーチ&生徒さんコンビの
上達速度は、やはり速いですね。
コーチと選手は
まさに“二人三脚”ですから。
③
自己流は
“偏り”から生まれる
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当時、
師匠から強く言われていたのが
「俺から指導法を盗むのは良いが、
まずは“全く同じ言葉”と“順番”で
指導をしろ」
でした。
今思えば、
そう言われた理由が
すごくよくわかります。
例えば…
師匠から
秘伝の料理レシピを
受け取ったとします。
材料の中に“鮭”と書いてあるのに
同じ魚だからと言って“秋刀魚”に
変えてしまったらどうでしょう?
家庭料理ならまだギリギリ良いですが、
お店で出すのは絶対NGですね(笑)
もしも、
その料理を食べて微妙な反応だった人が
「そのレシピを◯◯さん(師匠)から教わった」
なんて知られたら、
師匠も困ってしまいますし、
誰も得をしません。
このような
“自己流”が生まれる理由を
「偏りのせいだ」
と、師匠は言っていました。
“自己流”は
結局“自身の思考の偏り”に流された結果
生まれるものなんですね。
なので、
“自分の思考の偏りがある”ということを
を忘れてしまっているだけなんです。
川も高低差や偏りがあるから
流れができます。
偏りが大きい人ほど
流れが強くなるんですね。
以上、
師匠から教わった
指導者(コーチ)としての在り方でした。
「専門性の高さ」は
人助けの武器になると同時に
「思考の偏り」に流されてしまうと
ときに諸刃の刃になってしまいます。
自分の思考の偏りを
どう表現していくか?
そして、思考の偏りが強い人とは、
どのような関係性を築いていくのか?
それは私たち指導員だけの課題ではなく
全ての人が考えておかなければならない
課題だと考えています。
専門性…
上手に扱っていきたいものですね。
私も日々意識しながら
精進していきます。
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