memento_morisatoko

白い紙から ことばの輪郭を しゃきぱきと 切り取って 貼り付ける.

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最近の記事

夢 物 語

わたしは父と屋上のベランダにいた。 すると 烏が 一羽 飛んできて 父の頭のてっぺんをつついた。 軽く ちょんちょん と。 それから わたしの頭に飛びうつり ちょんちょん と。 わたしは とても 怖かった。 父は 相変わらずのその性格で 烏を 煽った。 わたしは とても 怖くなった。 ”烏が 怒ったら 頭に 穴が開いてしまう” 父は わたしに向かって 笑った。 わたしは 父に向かって 睨んだ。 そのあいだも 烏は 森に かえることなく わたしと 父の

    • そのあとの おはなし

      女の子は すっかり 女性 となりました。 偉い かしこい 社長さんのもとから飛びだし 彼女を育ててくれたひとたちのもとから飛びだし 彼女は この数年のあいだ ひとり 旅に出かけました。 一等車に乗り 一等の宿に身をやすめ そんな贅沢な生活からは すっかりと縁とおくなりました。 陶器の貯金ばこ にコツコツと貯めこんでおいた コインも 2年まえには ずっしり と それは彼女をしばし安心させてくれるだけの 重みが あったものの あっという間に すっかり 乾いた 寂しい 音 

      • ✴︎ 2 0 2 0 ✴︎

                          お魚。                 子どもと足跡。                  夜の訪れ。                  海と波。              2020年も よろしくね。                  🌜                   ✴︎

        • 怒り

          「イカる」こと。 私は社会人になり、 社長秘書になり、 社会やコミュニティに荒波をたてないように、自分にも人にも怒らないようになりました。 そして、自分の言葉を失いました。 ある時、 自分の言葉で正直に生きたいと思いました。 だから自然と、 自分の言葉を話して生きる人との関わりが増えていきました。 そして、聞かれました。 「あなたの言葉で、話して聞かせて?」 私はその言葉が出てくると大変怖くて、 いつも自信がありませんでした。 正直に生きたい思っているのに、 いつの

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        • 4本
        • ものがたり
          6本

        記事

          人間と物語

          久しぶりにAmazon Prime より、海外ドラマを一気見しました。 『 W E S T W O R L D 』season 1 です。 ザッと観たので、理解に至っていない部分が多くあり、見終えた現在もモヤモヤするのですが、私たち「人間」について考えさせられるものでした。 私たちの直感や心の声、それがどこから来るものなのか、なぜ人間は「物語」を求めてきたのか、ボルヘスが『詩という仕事について』の中で述べているように、数多に書かれ存在する物語は『イリアス』『旧約聖書』が書

          少年と椅子

          少年は とある椅子を探して旅をしていた ルンマーン砂漠を歩きはじめてから もう10日は経ったころだろうか 「どこまでいっても 燃えるような砂だ  いや この砂は実際 燃えているのかもしれない」 熱い砂を足裏に感じ 気が滅入りながらも 少年の気持ちは高ぶっていた 「ようやく探していたものが見つかるんだ…!」 長い旅に 終わりを諭したのはガーバという街で偶然 出会った老婆の言葉だった 「炎のような砂漠にお前が探し求めてきたものがあるよ  時の経過を感じさせる壁 が目印だ

          ちいさくて おおきな わたし

          きらきら したものに どきっ としたものに すきなものにかこまれることもたいせつ ばたばた せかせか 働き つかれてしまった それをつづける選択をしているのは わたし わたしが心地の悪さをつづけると 心地の悪さがひろがる わたしが我慢すればいい わたし以外のひとにも我慢させてない? わたしが心地よいもの たましいが宿るもの わたしが大切なひとにやさしいもの わたしがえらぶ一つ一つの積み重ねが わたしの生きている世界をつくる あたりまえにあるもの それはあたりまえじ

          ちいさくて おおきな わたし

          『わたしを離さないで』

          あの人との過去があるから、 わたしは切ない物語を求める。 脳は物事を都合よく、 美しく修正するだろう、 わたしが頻繁に感じることは、 勘違いかもしれない。 わたしはいま、幸せ。 でも、時々 思い出したくなる瞬間があり、泣いてしまう。 出会うタイミングも想う気持ちも間違っていなかった。 恐らく大切にしてくれていた。 周りに関係性が明らかにならないようにしてくれたこと、 "時々会えるだけで 元気にしてる姿を見るだけで もう十分に幸せなんだ" “幸せに生きてくれたら、 僕

          『わたしを離さないで』

          コトバと生命

          私が イスラームにおける「貨幣」の存在について関心を持ちはじめた背景には、当時の私の恋愛の状況が大きな影響を与えていると、ここ最近になって思う。 留学先で恋に落ちた彼と、帰国後に別れたのか、別れていないのか「曖昧な状態」になった。 当時の私は「彼を好きな気持ち」に依存をしていたため、「名前のない関係性」に我慢ができなかった。 数ヶ月ごとにfacebookで連絡を取り合う関係が続き、彼を想像する時間ばかりが増え、幻想や期待を持つようになっていった。 彼の対応全てに、意味や

          コトバと生命

          物語を語ってみる

          絵本やなにか小さい物語を書いてみようと意識したとき、 身の回りに溢れかえっている物語や、懐かしい物語に改めて触れてみることにした。 高校生くらいからミニシアター系の映画を見はじめ、アカデミー賞よりも気付けばベルリン国際映画祭や聞いたこともない賞を受賞した映画ばかりを観ていた。 決して実らない恋を続ける覚悟をしたときから、ハッピーエンドを避けるようになった。 一概に言いまとめられないが、アメリカ的なストーリーは、序盤で起承転結が想像できる。私たちは生まれてから自然とたくさん

          物語を語ってみる

          故郷

          その船はとても長い時間と距離を旅していた。 スペインからポルトガル、サウジアラビアを経てようやく日本へきた。 その船は小さく、あるひとりの少女がそれを動かしていた。 その船は本日、「母」という名前の国の港を目指し入港しようとしていた。 それは彼女の故郷であり、それは彼女をいつも複雑な気持ちにさせる空間だった。 その船はいつもは静かに、でも早く進む。 他の船と交流するときは、少しざわっと揺れるように進む。 母の船と交流するときは、転覆するほどに揺れに揺れて進む。 そして、い

          消費と信仰

          今、ポルトガルのシントラという場所にいる。 世界遺産が多いことから観光客が多く、各建造物に入るまでにどっと疲れてしまうような場所だ。 ”ムーア人の城跡”まで山道をひたすらに登り、疲れて頭がぼーっとして来たときに、ペーナ宮殿の入場券売り場前で長蛇の列。 うんざりして、「私は観光をしに旅をしているのだろうか」と考え直す時間ができた。 結論から言うと、私は旅が好きだ。他国へ旅をしながら生活をしていきたい。 外国人が好きだとか、素敵なホテルに泊まりたいだとか、そういう気持ちからで

          Surface ー表層ー

          駄目だ。 I feel uncomfortable. Something is wrong. ひとりで旅を続けていて宿の手配から移動などの目の先のことに追われて、物事やその場を洞察したり観察する余裕がなくなっている。 I do not come here caring of myself. Needed some mind-space for catching inner voice of city, people, from itself. 目に見える、表面的な美しさし

          Surface ー表層ー

          Camino ーいま、ここに続く道ー

          道。 私は聖地 Santiago de Compostela へと延びる道を歩いている。 私が歩く道は「北の道」、かつてイスラーム勢力がイベリア半島へその勢力を拡大させた時にキリスト教徒が上へ上と追われ発展した道だ。 道を歩いていると様々なひとと出会う。 将来に迷う若者、健康のために歩く人、人との出会いを求め歩く人。 この巡礼路には目的地がある。 目的地を目指して歩いている。 精神的な目的地には終わりはない。 そう思って歩き始めた私は、歩きながら様々な人に出会い、出会う

          Camino ーいま、ここに続く道ー

          惑星

          おなじ言葉を話し、 おなじ歴史を学び、 おなじ様子をしている。 いつからだろう。 おなじはずなのに、言葉が通じなくなったのは。 いつからだろう。 おなじ言葉を持っていないのに、ことばが通じるようになったのは。 いろんな色を持つシャボン玉みたいな惑星が浮いている。 びょ~んびょん跳ねている。いいや、跳ねるのを嫌うジィっとしたやつもいる。 それは惑星のような丸くくっきりとした世界ではないかもしれない。 空気のようなもっと混じり合って温度みたいな存在かもしれない。 いつか

          とある 私のおはなし

          あるところに、偉い社長さんの秘書をしているかわいらしい女の子がいました。 女の子はなにをしたいのかわからず、しばらく笑顔で秘書をがんばっていました。 まわりのひとからは、羨ましがられました。 たくさんの国に出かけ、すばらしい経験をしました。 あたらしいことがたくさんあり、まるで夢の中にいるようでした。 しかし、彼女はくるしみをかかえていました。 あたらしいできごとは、彼女のくるしみをすこしのあいだやわらげてくれました。 ぜいたくな生活にこわさと居心地のわるさをかんじるよ

          とある 私のおはなし