耕作放棄地を耕すには
在来馬という小さな馬力でも、耕作放棄地を開墾できるように道具を作っています。耕作放棄地が増えている状況では、そんな道具はますます必要になっていくように思います。
森のうまごやにある放棄地には茅が大量に生えていて、その一つ一つが大きな株になっています。こういった場所で馬耕すると、これまで使ってきた耕す道具は簡単に折れてしまいます。どうにかならないものかと、やり方や道具を探してきました。
放棄地に馬を放牧していくと、カヤが柔らかいうちは根際まで食べてくれます。芯が太くなると残ってしまいますが、それでもカヤの草のボリュームを抑えてくれます。一年のうちでも食べては伸びてを繰り返していきますが、次第にカヤの背丈が小さくなっていくように思います。
3年ほど繰り返し放牧してきたカヤ場のカヤの根を掘り起こして見ると、根の深さも短いものになっていました。背を超えるような株だったのが小さくなっていくので、その根も小さくなっていくようです。少しずつ違う植物も生えるようになってきました。根が小さくなれば耕しやすくなります。
これまでカヤの根株を耕せるような道具はありません。こういう場所では、ひたすら根をスコップで掘っていました。馬の引く道具にカルチベータというのがありますが、これを使ってみても刃が根に弾かれてしまったり、フレームが曲がってしまったりと、うまくありませんでした。もっと力のある馬なら入るのかもしれませんが、ココにいる道産子たちでもどうにかできるやり方を考えたいところです。
もっと細いもので根を切るようにしたらどうだろうか。
手ごろな大きさと強度のあるナタを使ってみることにしました。掘り起こしたいのは表面の15cm程度。この長さのナタの柄を取り外して使ってみました。
まずは1本を取り付けて福之助に引いてもらいました。わらかい土の上を通すと、刃先がスルリと土に沈んでいきます。深さは後ろのタイヤで調整してみましたが調整できれば必要ないようです。
小さな草の根っこがブチブチというのが聞こえてきます。
根を切りながら前に進んでいきました。ナタの刃の前に草が切れずに溜まってしまうと、根を切らなくなってしまいます。溜まっていく草を振り落としながら作業を進めます。
そして、大きなカヤの株の根へ向かって進むと、、、
株に刃が切り込んでいきます。株の途中で刃が弾かれたように外へ飛び出しました。完全に株を切り込むことはできませんでしたが、何度も繰り返すと株が崩れていきます。ナタの刃は強度としても見込みがありそうです。
一往復で切り込みが2本、これでは果てしなく終わりません。3本取り付けられる道具を鉄工所にお願いして作ってもらいました。
3本の鉈刃を取り付けて、引き具合を試してみました。
一本に比べて3本の方が重く引くのに力がかかります。根の多いところでは福之助が重そうに引いていきました。これなら茅場でも根を切っていくことができそうです。
鉈刃を一通り一面に入れたところで、カルチベータを使って耕してみました。上の写真の右側にあるものを取り付けます。鉈刃は縦に根を切り込みますが、カルチベータは横方向にも切り込んでいきます。
ナタ刃を入れる前はカルチベータの刃が入らなかったところも、ナタ刃の後では入るようになってきました。ナタ刃の効果はあったのです。
こうして耕せなかったところから、だいぶ進めることが出来たのですが、他にも在来馬という小さな馬力でも耕すことが出来るような環境をそろえていく必要があります。植生の変化や馬耕道具、できる工夫はいろいろありそうですね。
耕したところには大豆を蒔いて、しっかり育っていきました。