わた かず

馬の耕太郎・福之助と馬耕や馬搬をしています。森や田畑を開拓しながら、生き物豊かな景観を作りつつ、自分たちの手で作り出せるものに満足し、野にある暮らしをしていきたい。

わた かず

馬の耕太郎・福之助と馬耕や馬搬をしています。森や田畑を開拓しながら、生き物豊かな景観を作りつつ、自分たちの手で作り出せるものに満足し、野にある暮らしをしていきたい。

最近の記事

ヤマノモノの棲む森に畑をつくる

 ふもとの集落では、森から「ヤマノモノ」が出てくるのを集落ごとフェンスで囲って防いでいます。フェンスの向こうはヤマノモノの世界。踏み入れると昼間でも姿を見せてくれることがあります。  ふもとの集落の人がいうヤマノモノは、森に住むケモノ。主にシカやイノシシのことで嫌がられています。森の中に畑を作っていると、その気配を感じます。  森の中はヤマノモノの住処なので、そこに作る畑ははじめから金網のフェンスを張っています。シカを防ぐために2mの高さにして、イノシシ対策としては足元を

    • 手仕事は離れた時をつなぐ

      例年より早くお米の収穫時期になって、週末をすぎるごとに刈り取りが終わった田んぼが増えてきました。僕の作っている田んぼはまだ水が入っていて、また今年もこの辺りで最後まで稲刈りせずに残っていくところになりそうです。  去年稲刈りしていたのは、秋も深まりつつある10月末のころのこと。ここだけが島のように稲が残っていました。ゆっくり成長させていくので実が入るのは人一倍遅い。さらに手刈りで進めていくのだから相当に遅い。機械のなかった昔は、雪が降る前に何とか終わっていたと聞いたことがあ

      • 耕作放棄地を耕すには

        在来馬という小さな馬力でも、耕作放棄地を開墾できるように道具を作っています。耕作放棄地が増えている状況では、そんな道具はますます必要になっていくように思います。 森のうまごやにある放棄地には茅が大量に生えていて、その一つ一つが大きな株になっています。こういった場所で馬耕すると、これまで使ってきた耕す道具は簡単に折れてしまいます。どうにかならないものかと、やり方や道具を探してきました。 放棄地に馬を放牧していくと、カヤが柔らかいうちは根際まで食べてくれます。芯が太くなると残

        • 馬たちと放棄地を開墾する

          馬たちは生きるために草を食べていて、それが放棄地を解消する役に立っています。それだけ草刈り機を使わないで済み、化石燃料や労力が減らせる。食べるスピードは遅いかもしれませんが、場所の使い方をそのスピードに合わせればいいのです。これまで放牧のやり方を何度も失敗しながら、雪や台風の時以外は放牧を続けてきました。  馬たちが移住した先は森の中の寂れてクタクタになった小屋。カヤが生い茂った広場の周りに手入れのされていない森が広がっていました。森の中にぽっかりと空いた樹々のない空間です

          馬と子どもと小屋づくり

          ここにあるものを使って必要なものを作り出す。馬と森から丸太を出してきて、子どもたちと倉庫に使う小屋を作りました。製材されていない丸太を使って組んでみると、森の恵みをそのまま味わえるようです。  すでにある小屋の隣に倉庫を拡張します。水はけが良くなるように排水溝を掘り、束を置く位置を決めていきました。大きめなコンクリートブロックに丸太の柱が入るようにします。  次に丸太を準備していきます。馬の福之助と運んできた丸太は、そのまま樹皮が付いているので鉈を使ってはがしていきます。

          馬と子どもと小屋づくり

          はたらく馬のいる景観

          人の住む地域の景観は、そこに住むものが周辺環境と関わっていった歴史の結果を見せてくれています。馬たちが働く仕事や文化を地域に取り入れることは、持続性のある景観を取り戻すことになる。そんな場所になったら良いなと森づくりをはじめました。  馬たちを放棄地となっている茅場や森の中に放牧して、草を食べて放棄地を開拓してくれています。その馬糞を森の広葉樹の足元へ戻していき、さらにその落ち葉は開墾された畑へと戻ってきてくれます。小さな場所だけれど、畑と森が一体となって繋がっている場所に

          はたらく馬のいる景観

          溢れ出る雨水の流れ

           この数日間、続いていた大雨は森や畑から溢れ出し、ついには馬小屋へと続く林道を川となって流れ出してしまいました。朝になって雨が止み様子を見に行くと、ゴツゴツとした大きな石や下地の赤い粘土が見えているほど林道の砂利を麓まで押し流しています。軽トラでなんとか通れるくらいになってしまいました。雨水の流れ方を見ながら、どのようにこの場所をデザインしていくか、この場所のあり方を考えてみました。  馬小屋のある場所は、なだらかな尾根に挟まれた谷の上側にあり、そこまで麓から谷をまっすぐに

          溢れ出る雨水の流れ

          耕さない田んぼで馬耕!?

           去年から不耕起栽培と馬耕の代かきを組み合わせたお米作りを始め、今年で2回目。自然栽培で作っているので、犂で天地返しして馬糞堆肥をすき込む必要はありません。耕す栽培と耕さない栽培、相反するようにも思えることを組み合わせています。  昨年、馬の耕太郎と耕した田んぼは水持ちがとても良く、雨が降ると水がしばらく溜まっているほどでした。その前の年に深く耕し代かきを繰り返した効果なのかもしれません。これなら耕さなくても稲が作れるかもしれない。  耕さずに、そのまま水を入れてみると、

          耕さない田んぼで馬耕!?

          はたらく事で築かれていく

          馬たちは経験を積み重ねる事で、良い事は安心感になるし、悪いことは恐怖になっていく。それは人も同じことで、良い仕事をしていくためにも僕にとっても良い経験として積んでいきたいものです。  去年から馬耕を始めた福之助は、丸太を引く程度のことはしていましたが、土を起こすところから代かきまでの一連の作業をしたことがありませんでした。一昨年まで、耕太郎が馬耕をしている姿を横で見せておいたので、何をするのかは知っているんじゃないかと、なんとなく期待していましたが、、、  福之助を田んぼ

          はたらく事で築かれていく

          在来馬と耕す、お米づくり

          はじめに、馬の耕太郎と福之助と田んぼを耕す「馬耕」のお米づくりを紹介します。今ではトラクターがやっている仕事ですが、その昔は馬や牛がやっていました。それは50年ほど前のこと。 まず、はじめは田おこし。  犂(すき)やプラウという道具を馬の耕太郎に引いてもらい、先端についたスコップ状の金具で土を掘り起こしていきます。ゆっくり歩かせながら、道具のバランスを取って歩きます。  一定に浅く真っ直ぐに掘るのは、意外と難しい。足元を見ていると馬が踏み外すのに気づくのが遅れるので、で

          在来馬と耕す、お米づくり