在来馬と耕す、お米づくり
はじめに、馬の耕太郎と福之助と田んぼを耕す「馬耕」のお米づくりを紹介します。今ではトラクターがやっている仕事ですが、その昔は馬や牛がやっていました。それは50年ほど前のこと。
まず、はじめは田おこし。
犂(すき)やプラウという道具を馬の耕太郎に引いてもらい、先端についたスコップ状の金具で土を掘り起こしていきます。ゆっくり歩かせながら、道具のバランスを取って歩きます。
一定に浅く真っ直ぐに掘るのは、意外と難しい。足元を見ていると馬が踏み外すのに気づくのが遅れるので、できるだけ前を見て足元を見ないで耕していきます。どれだけ掘れているのかは感覚で掴むしかありません。それと、足元を見てるとなぜか息が上がるのも早いのです。
次は田んぼに水を入れて、水と土を混ぜていきます。
砕土機を引いてもらい、土のかたまりを砕いて、草を巻き込んでいきます。道具に子どもを乗せてドロボード!遊びながらの作業です。昔もこうやって子どもを乗せて作業してたんだって話も聞くことができました。
次は馬鍬(まんが)を使っての代掻きです。
水の量を少なめにして、ゆっくりと歩きを確かめながら始めます。はじめは大きく外周を回って、後半はらせん状に小さく何度も回ります。次第に土がフワフワ浮いてきて、トロトロの土が出来上がり。何度も代掻きをやることで、田んぼの水持ちが良くなるようです。馬は水の中でも機動性が高く、土を深く練ってしまったり、土を重く固めてしまうこともありません。
田んぼが平らな水平面になるように、馬鍬で土を寄せていき、水をヒタヒタに入れて水平を確認していきます。
水が溜まっているところが低いところなので、そこに土を寄せていきます。近所の方がレーキを貸してくれました。最後はレーキを馬が引いて小さな凸凹をなくして終わり。
こうして田植えできることまで耕太郎と働きました。
馬たちは野に生える草を食べて働いています。馬耕は化石燃料から自立したお米作りを可能にします。それは未来においても持続性や自給力のある農作業ではないでしょうか。
これまで経済優先の社会が見過ごしてきたことに気づくことができるんじゃないかと思い馬耕を続けてきました。馬耕は手間のかかる作業ですが、自分たちの手で作り出せるものに満足できるよう、この野にある暮らしをしていきたいと思います。