森見登美彦氏とわたし【聖地に住む編】プロローグ

わたしは大学を卒業後、東京にある某企業へ就職した。

当時のわたしは、東京と京都で遠距離恋愛をしており、週末ごとに恋人宅へ新幹線で通っていた。
【出会い編】で登場していた年上の恋人である。

しかしそんな生活は長くは続かず、恋人宅へ転がり込む形で京都へ移住した。

出町柳界隈での新生活がスタート。

当時は東一条通りの大型スーパーマーケットがなく、神宮丸太のフレスコか、枡形商店街のスーパーで日常の買い出しを済ませていた。
それだけで「有頂天家族」の世界へ想いを馳せた。
鴨川デルタも下賀茂神社も、京都大学や吉田山も、全部が徒歩圏内にある。

桜の舞う哲学の道を散歩したり、
宵山へぽんぽこ仮面のお面をかぶって赴いたり、
電気ブランと赤玉ポートワインをなめながら五山を眺め、
達磨を片手に学園祭見物へも出かけた。

夜の先斗町で飲み屋をはしごし、
吉田山の節分で夜更かしをし、
時には遠出をして万博公園で太陽の塔を見上げた。

憧れていた世界に住む、
東京へ帰る必要もない、
夢のような生活だった。

現在は、結婚を機に金沢へ引っ越したわたしだが、
京都在住時代は森見作品の聖地巡礼や、作品に触発された行動をしていた。

次回からは、京都在住時代の森見ライフを思い出していこうと思います。

次回
「森見登美彦氏とわたし【聖地に住む編】太陽の塔の巻」



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