『空の境界』論、改稿しました。

 私が卒業論文で『空の境界』論を提出してから約4ヶ月。
 教授からいただいたアドバイスや論文で扱い切れなかった内容を踏まえて、改稿に改稿を重ねて、先刻ようやく完了しました……。

 表題および目次は以下の通りです。

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 論文で行ったことは、『空の境界』の売り文句であった「新伝綺小説」の曖昧さを懐疑して、それとは別のカテゴライズを探ってみようという試みです。

 この改稿作業で得られた知見は、二元論の空無化という考えでした。
 『空の境界』のテーマは「境界性についての物語」というものです。作中では、日常と非日常、正常と異常といった様々な二項対立が発生しています。
 日常とは現実に近い一般社会のことで、非日常とは魔術師が暗躍する世界のことになります。正常と異常の対立については、二重人格者であり生まれつき殺人衝動を持つ主人公の両儀式の葛藤に代表されます。

 このテーマについて、全編を通して綿密に語られていて、当作品から単なるロー・ファンタジー小説として収まらない重厚感を覚えました。

 元々は趣味の延長線で始めた論文制作でしたが(ヒドイ)、分析をすればするほど知的な発見が立て続けに得られました。文学を読むという行いは、こうした発見の連続にあるのではないでしょうか。
 そう考えると、エンタメ小説にも文学性が内包されていると言えそうです。「近代文学」は終わっても、文学そのものは未だ根強く息づいているのかもしれません。

 公開先については、よくよく検討していこうと思います。ひょっとすればnoteで公開することも、微レ存かもしれません。


2020.05.23 追記

 『空の境界』論の改稿版をnoteで公開することにしました。文量がアップし、難易度もアップした厄介な代物ですが、どうぞご一読いただけますと幸いです。


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