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映画のデス・ロード ~私が初めて観た”映画”~

#映画にまつわる思い出
今回はどんな記事を書こうかなと散歩していたらこんなタグを見つけたんですよ。
このタグを見てふと、今日の今日まで、まだ話していない映画の話があったことを思い出した。
私が一番好きな映画で、最初の”映画”。
そして、私がなぜ映画を見て、こうやってブログにまとめ始めたのか。
今日は私の”窓口”の話をしていこうと思います。

ある作家との出会い

この話をするには、ある出会いを話さなければなりません。
ある作家がいました。
その作家の名前は「伊藤計劃」。
類稀なる才能を持った、そして天に愛され夭逝したSF作家です。

彼の小説と出合い、しかし、もうこの世にはいないと知った時の衝撃は、計り知れないものでした。
彼にまつわる出版物には多く触れようとするのはもはや当然のことで、そして、その中で彼の映画評論を読みました。
この時に伊藤計劃という人間が映画好きであったことを知り、憧れの人の何もかもを真似てみたい、という軽い気持ちで私は映画館へと足を運びました。
そのとき、見た作品がちょうど「マッドマックス 怒りのデス・ロード」だったのです。

マッドマックス 怒りのデス・ロード

映画館に行くことはこれが初めてではない。
幼少期にはポケモンやスターウォーズを見に行った。
中高のころにはアニメの映画も見に行った。
だから、別に初めての体験ではなかった。
けれども、この時の体験は間違いなく初めてだったのです。

今でも思い出す。それは大学生のころだった。
核戦争後の文明が滅んだ世界。
荒野をさすらう主人公。
静寂から、エンジンを入れた瞬間に身を貫く轟音。
魔改造された車たちのカーチェイス。
身の奥から高揚させるような音楽。
度肝を抜くアクションの数々。
マックスとフュリオサ、最初は敵同士だった二人の間に紡がれる友情。
彼らを取り巻く、圧倒的に豊かで情緒溢れる登場人物たち。
全てを貫くシナリオ。
そして、これらを人間が演じ、人間が作ったという事実。
映画館を立ち去ることには、自分という人間が書き換えられていたような、そんな体験だった。
まさか、こんな創作物がこの世にあるとは。
まだ若い私は、そう衝撃に貫かれていたのです。

マッドマックスについて話したいのですが、それだけで記事が一本できてしまうので、それはまたの機会に。
今でも年に1回は絶対に観る、最高の映画です。

”映画”とは

マッドマックスを観るまでも私はいくつかの映画を観てきました。
ポケモンやスターウォーズなどを劇場で見たのです。
ですが、”映画”というものに触れることができたのは、マッドマックスが初めてでした。
この”映画”とはなんなのでしょうか。
これまで見てきた映画と、そのとき観た映画には、どんな違いがあったのでしょうか。

この辺りは不勉強で、まだまだ分からないことがおおいです。
その中で言えるのは、セッティングだと思います。
小説、漫画、ドラマ、ラジオ。
このどれとも違い、映画は映画館という、映画を観ることに特化した場所で観るのです。
わざわざ家から足を運んで、数駅先の(あるいは車で遠方の)映画館へと向かう。
発券をして、ポップコーンやコーラを買い、だんだんといつもと違う雰囲気にのまれていきます。
案内の声とともに、この劇場でいいのかな、この席でいいのかなと座席を探し、柔らかな布地のクッションへ身を委ねます。
やがて、騒めきの中で照明が少し暗くなり、映画の予告、そして配給会社の紹介から本編が始まっていきます。

ここには順序がある。
この順序こそがいつもと違う体験をさせる準備をさせてくれるのです。
特別な場所、空間、時間が整えられていくのです。
そうして、特別さの宇宙に相応しく作り上げられた創作物。
それが、”映画”なのだと思います。
そして、そういう構造があるということに気付かせてくれたのが、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」という映画だったのです。

このタグには、たくさんの「窓口」がある

私はある時からブログに映画の感想をまとめています。
こっちではあまり書いていないが、過去の分はこちらに置いてあります。

最初は自分の感想をまとめ、感性を鍛えること、言語化する練習の一環として書いていました。
しかし、最近はどこか、感想を書くことに別の意味があるんじゃないかなあ、と思い始めていました。

今日、このnoteを書くにあたり伊藤計劃の映画時評集を開いてみました。
そうしたら次の一文が目に留まりました。

感動の「窓口」をあなたの中につくることができたなら、ぼくはとても得した気分になれるんだ

伊藤計劃 「伊藤計劃映画時評集1」ハヤカワ文庫より P13

noteやブログで感想を書いてイイネや感想をもらえるとうれしいです。
けれど、それだけじゃない。
この映画の良さをもっと知ってほしい。
こんな面白いシーンがあるんだ。
このセリフにはこんな裏があるんじゃないか。
私の感じたことを、多くの人に広げるために、私は筆を取っていたのだ。
伊藤計劃のmemeミームは、確かに私の中に生きていた。
その窓口を紹介してくれたのが伊藤計劃で、窓口を開いてくれたのが、「マッドマックス」なのです。

そして、このタグと企画には、彼のmemeがたくさん息づいています。
沢山の窓口をこのタグから見つけることができるはずです。
なによりも、きっと、この文章を読んだあなたの中にも、このmemeが伝わっているんじゃないだろうか。
まさに映画のデス・ロード。
私たちの「|Witness me !感想を見ろ!》」と叫ばずにはいられない、映画のウォーボーイズが集まっているのだ。

さあ、映画を見て、そして、書こうじゃないか。
あなたの中の映画を、ぜひこのnoteで。
もっと、”映画”の「窓口」を紹介して、広げてみませんか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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