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NOTEでのオリジナル記事

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#九州王朝

竹取物語の源流:隼人と天皇

少し前に、「竹取物語」の解釈をテーマにした3つの投稿をしました。 本投稿は、直接、「竹取物語」の解釈とは関係なさそうなのですが、その背景として興味深い、「隼人」に関わる情報(海幸山幸神話、天皇、竹、月、九州王朝、丹波などを含む)を紹介します。 古代日本の南九州に住んでいた隼人は、竹文化、月信仰を特徴とし、「竹取物語」の祖型の物語も、隼人に由来すると思われます。 記紀の日向神話は、隼人と密接な関係があり、竹の要素も見られます。 日向神話には、「竹取物語」と類似する異類婚姻

消された月神信仰:筑紫、出雲、丹後、伊勢…

現在、皇祖神はアマテラスとされていますが、記紀を読めば、いくつかの箇所でタカミムスヒが主神のような働きをしていて(例えば日本書紀本文ではタカミムスヒが天孫降臨を司令している)、皇祖神はもともとタカミムスビだったということを、多くの論者が指摘しています。 また、田村圓澄によれば、記紀のアマテラス像は、天武期に説かれるようになった、護国の経典「金光明経」の太陽のように輝く仏の影響を受けています。 この時期、白村江の戦いの敗戦の責任のない新しい神が求められたこともあります。 ま

邪馬台国の大和説が成立しないことの本当の意味

関川尚功氏の「考古学から見た邪馬台国大和説 畿内ではありえぬ邪馬台国」(‎梓書院、2020)は、考古学的に見て、邪馬台国大和説(纏向遺跡=邪馬台国の中心地説、箸墓古墳=卑弥呼の墳墓説)が成り立たないことを論証した書です。 関川氏は、橿原考古学研究所などで、50年に渡って大和の発掘調査の第一線で活躍してきた人物ですので、この書が出版された意味はとても大きいものです。 関川氏はこの書で、邪馬台国大和説(邪馬台国畿内説)は、考古学の実態を無視して議論が行われていると嘆いています