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中学生が自分の「苦手」を伝えられる居場所の存在

今年に入って子ども食堂の手伝いに来る中学生の男の子がいる。その子、友だちと来るわけでもなくいつも一人で来る。

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そういえば、以前来ていた女の子も一人だった。男の子ばかりだったから、おばさんは気を利かせて、友だち誘ってきていいんだよ、って言ったら、「気を使うから一人でいいんだ」と返された。

そうだね、大人にも子どもにも無理強いはよくないよね。気になってたけど、そうかそうか、と深追いせずに見守ってた。

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彼は、小学生の頃から食が細く、体をすぐ壊し、お母さんがいつも気にかけていた。中学に入っても部活を辞めたり、学校を休んだり…まあ思春期だからいろいろあるわな。

しかし、月イチの子ども食堂には毎回顔を出すようになった。今月は町のイベントと食堂開催日がバッティングしたため、…いや去年もそうだった。町全体の人数が少ないため、お客さんのとりあいになる。

ゆえに今年はそのイベントにワタシたちの団体が参加させてもらうことになった。企業から提供を受け、ワークショップを開くことに。紙芝居に、すごろくに、工作もある。けっこう盛りだくさん。

数日前に、彼のお母さんから代表に彼を参加させたいと連絡があった。スタッフの人数もいつもギリギリなので、こちらとしてもありがたい申し出。もちろんいつもの会ではないことも伝えている。

当日、彼は準備の段階から時間通りに来てくれた。おはよ、と声を掛けるとうつむき加減で頭をペコっと下げてくれる。これやってほしいといえば、わかりましたってマスクの奥で返事してくれて、ゆっくりだけどちゃんとやってくれる。

スタッフは彼を入れて7名。未就学児と小学生が含まれるため実際動けるのは5名。40名の子どもたちを順番に受け入れる。

小さい子たちは、すごろくに集中できないため、歯ブラシにシールを貼る作業を先に行う。逆に高学年の小学生は、説明さえすればすごろくを自分たちだけで楽しめる。

中学生の彼には、すごろくの人数が足りなければ、そこに入ってもらうし、お土産を人数分セッティングして配ってもらうし、とにかくいっぱい考える暇もないくらい体を動かしてもらった。

やっとお昼前になって、子どもたちの波が途絶えた。スタッフみんなでもらった買い物券で買い物して、お昼を取ることになった。

中学生も買い物から戻り、お昼を一緒に食べる。今日どうだった、と聞くと楽しかったと。でもなんか浮かない顔。「…人がたくさんいるところが苦手だから…」とぽつんと言う。

人がたくさんいるところが苦手な中学生にとっては、地獄のような4時間だったかもしれないけど、頑張っておばさんたちと最後までよく働いた笑

それにしても、と思う。

自分の苦手なことを、口に出してよく人に伝えられたな。

彼、通いだしてから、嫌なことを私たちスタッフに言うことは今までなかった。声をかけても「大丈夫です」って言ってたな。またまた気にはなってたけど、続けて通ってる姿を見て、女子の時のやっちまった件があったから、ぐっとこらえて見守った。

やっと言える仲になったんだね、おばさん、ほろっと来そうだよ。

もちろんまだまだ続く思春期。これで終わるはずもなく、子ども食堂の関係づくりは大切な役割の一つ。

でも中学生の彼、終わってからそれを言うところが、だんだんと大人になっていく彼なりの配慮なのかな〜と、一人成長を感じてにんまりしてしまう。

なんだよ先にそういうことは言ってよ〜って彼には言ったけど、それを我慢してでも来たいという彼の気持ちが勝ったのなら、よっしゃって、ワタシは心ん中でガッツポーズ。

ここが彼の居場所になって、目もちょっと合わせられるようになって、自分らしくいられる場所が少しずつ増えていくことが、わたしたちは嬉しいから。




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