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読書感想文 4冊目 小川洋子「博士の愛した数式」

1日の記憶が80分しか持たない元数学教授の博士の下に、家政婦である主人公が息子と一緒に数字を通して仲良くなる話です。

第一回本屋大賞を受賞したこの作品は、数字が苦手な私でも楽しく読むことができて、野球をよく知らなくてもどれだけ江夏豊選手がすごい選手だったのかを教えてくれる作品でした。

なぜここで数学と野球が結びつくのか、それは江夏豊選手の背番号の「28」番に関係しています。

28を割り切れる数字を足していくと
1+2+4+7+14=28

これを完全数と呼ぶみたいです。

このように、中学生の時にマジで0点をとったことある私でも計算は面白いと思わせるような内容でして、
江夏豊選手の背番号が完全数であったことを知った作者の小川洋子さんはそうとう嬉しかったことでしょう。

特に私は主人公の息子である「ルート」を可愛がる博士の描写が好きで、ルートを我が子のように可愛がるのではなく、自分の宝物を大切に扱うようなその姿勢に思わず顔がニヤけてしまいました。

子どもは未来の宝。息子のコンプレックスだった平らな頭を頭を撫でて、君はルートだ。というシーンは、この喩えは本当に面白いと思いました。

1日の記憶が80分しか持たない博士にとって、家政婦とルートは毎日が初対面ですが、それでも面倒臭がらずに毎回丁寧に説明する描写は介護の基礎においてとても重要な対応で、短時間に同じ質問をする入居者に何度も同じ説明をする大変さが分かるからこそ、主人公とルートの博士に対する対応は本当に誠実だと感じます。

以上で終了です。
それ以外にも数学に関することが書かれていて、それに対しての定義やそれを見つけた人の名前など、様々な描写が書かれています。

ぜひとも数学が苦手な人も、読んでほしい一冊でした。


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