亜鉛のちから
30歳になる辺りで、苦手だった食べ物を大体克服した。自炊をちゃんとするようになったのは28歳辺りで、まず揃えたのはスパイスだった。
自分で美味しいカレーを作れるようになりたかったからだ(あとは当時好きだった人がカレー好きだった)
ひよこ豆が好きだから、ひよこ豆と挽き肉のカレーばかり作った。カシューナッツを刻んだり、面倒なカレーも結構作った。余ったスパイスでムサカを作っていた(元々のレシピは挽き肉を使っていたと思うが、私は厚揚げを使った)
スパイスに飽きると、今度は煮物を作り出した。季節は夏である。メンヘラのする事ってわからない。
ちなみに炒め物を作るようになったのは最近である。
髪の毛が早く伸びると聞いてから、亜鉛のサプリメントを飲むようになった。亜鉛は味覚にも影響するらしいが、そのおかげか私は辛いものが平気になったらしい。いや、酸っぱ辛い料理は好きだった。
雨が降っている。雨が降っている日のラーメンは美味しいという説を信じているので、ゆで卵を作り始めたが、頂き物のブロッコリーのことが頭から離れない。トマト煮にしちゃえ。
ブロッコリーを下茹でし、玉ねぎを炒めておく。茹で終わったブロッコリーは大量だし、そのままだと美味しくない。ジャガイモ、鶏もも肉を追加し、カットトマトを入れた後、これでもかと胡椒をいれる。
古い野菜を誤魔化すならスパイスですね、ということで、ターメリックとクミンを。トマトのえぐみが消えないから牛乳、塩、シナモン。シナモンは入れすぎたような気もする。それでもダメなのでとんかつソースを少し。砂糖を足す。
完成した。なんだこのめちゃくちゃ美味しいトマト味の液体。口にするたび複雑な辛さが舌を覆う。クラフトスパイスソーダとの相性も最高。しかし、〆にご飯を入れて思った。これはカレーなのかもしれないと。
ともあれ、美味しいご飯とお酒をいただけて、私は大満足です。