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他社の成功はないものねだり

社会人の飲み会での話題といえば、色事、人の悪口、そして会社への不満です。
他社を出し抜いて、社員全員大満足の会社など、あって各業界に一社というところ、どこでも不満の種は尽きないものです。
他社は製品が優れているとか、品質基準が緩めで自由度が高いとか、高くても売れるとか、安く作れるとか、販路開拓がきめ細かいとか、販促がうまいとか、うわばみの頼む酒のように出てきます。
そんなにたくさん出てくる問題に対して、なぜ経営陣は解決しようとしないのでしょう。
ただのボンクラだから?
それもあるかもしれませんが、もう少しポジティブに捉えてみましょう。
それは一般社員が考えつくより深く考えられているから、なのかもしれません。

会社経営において最も大事なことは顧客の満足より、競合に勝つことより、自社が生き続けることです。
そして生存確率をあげるということはリスクを抑えるということです。
他社がやっていることを同じように自社もやる。
それだけのことのように思えても、実はそこには複数のリスクがある場合があるのです。
他社のように販路を手広く、した結果として営業が回りきれなかったり、他社のように販促に注力、したものの実売に繋がらなかったり。
既存のビジネスモデルと勝ち筋に対して、新しい取り組みを増やせば増やす程、離れれば離れるほどリスクは増大します。
一見すると優れて見える他社の成功事例も、自社のビジネスモデルと合わなければ蜃気楼のようなものです。
ビジネスモデル自体が間違っているのでそこから変えるべき、そんな意見も現場レベルでは出てきますが、それは企業存続の可能性をコインに変えて博打に使うようなもので、経営者が取るべき選択とは言えません。

他社の成功事例は華々しく見えますが、それをそのまま手に入れようというのはないものねだりをするのに等しい状態です。
決して容易に受け入れられるものではないのです。

では会社が成功する為に、現場レベルでできることは何でしょう。
それは成功事例の積み重ねです。
既存の製品、既存の価格、既存の販路で少しだけ新しい販促を行って成果を上げる。
少しだけ販路を変えたり、販路に対していつもと違うアプローチをする。
そんな、いつもの延長にあるチャレンジを重ねていくと、ないものねだりだったはずのもののうち、一部が「あるもの」に変わるのです。
ないものばかりに手を伸ばしても合意を得ることはできませんが、あるものの中に少しだけないものをまぶすのは現実的なチャレンジとして取り組むことができるはずです。

一度に変えて大きな成果を得たいというのは企画者にとっての夢や願望のようなものかもしれません。
一方で地道に変え続けていく力というのも企画者としては欠かせないものなのです。
ないものねだりより、あるものづくりをしていきましょう。

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