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稽古、演武、実戦

合気道は型を反復するものと思われがちですが、他の日本の伝統的な「道」と同じく型に対する守破離があり、判で押したようかものではありません。
型の習熟が守破離の段階で変わるだけでなく、技は稽古、演武、実戦で変わります。

同じ技であっても、稽古の技は試行錯誤の技です。
正しさと自分に合う形を模索するものなので様々に変化します。
他者の稽古のためであれば模範的になりますし、自身の稽古の為ならば無限に変化しますし、一見地味です。
演武の技は魅せる為の技です。
術理の正しさを残しながらも派手な演出や脚色が加わります。
世の中でイメージされる派手に人が跳ね回る技は演武の技です。
最後は実戦です。
合気道に試合はないと言いますが、この場合は日常の中で危機的状況に陥った場合です。
そこには稽古の地味さもなければ演武の派手さもありません。
あらゆる手段を用いた臨機応変さが現れます。

稽古は地味、演武は派手な演出、実戦は臨機応変、これは合気道だけでなく商品企画も同様です。
例えばマーケティング用語や基礎を学ぶことは極めて地味です。
理屈を飲み込んでいく作業のようにも見えます。
一方、書籍で紹介されるような華々しい話は演武に過ぎません。
術理を派手に演出するように、説明したい理論を強調しているに過ぎません。
ビジネス書を読んでもピンと来ないことがあるのはそれが脚色された演武だからです。

実戦は外からは見えませんし、本当のひりつくような緊張感は簡単に伝えられるものではありません。
そこではただひたすら積み重ねた稽古の成果を臨機応変に使うだけのものなのです。
ただ稽古をするだけでは型の習得でしかありませんが、実戦を肌で感じた後の稽古は意味が違ってきます。
教科書の理屈に過ぎないと思えていたものが色鮮やかに変わってきます。
マーケティング用語の基礎中の基礎であった3Cや4Pがどれほど使いこなせていなかったかに気付くかもしれません。

学ぶこと、魅せること、真剣に使いこなすこと、それぞれの違いと関わりが意識できると、合気道も商品企画もまだまだ伸び代があることが分かることでしょう。

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