![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/136327360/rectangle_large_type_2_17cd1b98849ec6dbeb4a3ddd0d7867f5.png?width=1200)
アンゾフ入れ子のマトリックス
市場が新規か既存か、製品•サービスが新規か既存か。2×2のマトリックスで成長戦略を考えるのがアンゾフのマトリックスです。
既存製品を既存市場に売り込むにはより浸透させる取り組みが必要です。
どちらか一方に新規の取り組みを行えば、新規製品なら製品開発、新規市場なら市場開拓となり真冬。
そしてどちらも新規であれば多角化を目指すことになります。
さて、このマトリックスについて考える中で一つ疑問に感じることがあります。
マトリックスの一軸を担う「市場」とは何でしょう。
英語の原文を追えばMarketと書いてありますので翻訳すればそのまま市場であり、疑う余地などないのかもしれません。
しかし市場を構成する要素を分解すると業界、販路、顧客が見えてきます。
既存市場と一括りにしても、食品業界、食品流通、食品購入者のどこを指しているのかで取り組み方が変わって来ます。
食品メーカーにとって、食品業界も食品流通も既存市場であり、食品も当然既存商品です。
食材由来の栄養成分を抽出したサプリメントを作れば新規商品ですし、医薬品流通を開拓すれば新規市場になります。
ところが、ビタミン強化米のように食品流通で販売する食品に健康要素を取り込むと絵面が変わって来ます。
ここで考えなければならないのが、ビタミン強化米をどう捉えるかです。
新製品と考えれば新しい成長戦略になりますが、既存市場に既存商品の延長にあるものを普及させるのであれば浸透戦略になります。
既存業界の既存流通で構成される既存市場に対して、栄養を意識した健康志向を持つ顧客を狙った製品を出すことになります。
この場合は既存製品群の強化であって新規とは言えなくなりますが、既存事業におけるリソースが使いやすくなります。
新規事業というと華やかな新しいチャンスのように映るかもしれませんが、捉え方を変えればギャンブルです。
新規という言葉に踊らされることなく、どこまで既存の延長にあるのかを冷静に捉えることがリスク低減につながります。
アンゾフのマトリックスは製品と市場を新規と既存に分けることで成長戦略をシンプルに表現することができます。
ただしそれはフレームワークという言葉の通り、枠組みを示すだけでしかありません。
既存市場の中に紛れる新規の要素、新規製品の中に含まれる既存の要素に目を向けると、きっと戦略はもっと具体的になることでしょう。