《ユウとカオリの物語》番外編:カオリのテンポで
このひと月、ずっとクレーム対応に追われていた。難しい生徒だった。授業内容とは別のところで引っかかる。わたしの言葉や態度が気に入らないのだ。細心の注意を払い対応して、少し落ち着いても、重箱の隅をつつくようなクレームがくる。悪い人ではない。一所懸命な様子がかわいくもあったし、わたしは彼が嫌いではなかった。ただ、わたしの意図しないところで傷ついてしまうので、その都度対応するしかないのだ。
授業中はいいのだ。落ち着いていてにこやかだったりする。「カオリ先生は今までの先生と違う。僕が納