まだ見ぬ土地の姿を観る〜国立西洋美術館「憧憬の地 ブルターニュ」〜
久しぶりに国立西洋美術館へ。
今回は企画展「憧憬の地 ブルターニュ」が目当て。
今回の展覧会で良かったこと
①治安、治安、治安!!!!!
クラシックな広告というのはここに響くのか、、、
前々日に国立新美術館のルーヴル美術館展に行っていたので、そのメリットがひしひしと感じられる。
土曜日に行ったのでまあまあ混んでいたがそれでも平和に鑑賞できた。
一生愛すよクラシック広告。
②コレクションを最大限に活かした企画と明確な軸
展示の数も質も大満足。
オルセー美術館から数点来ていたが、ものすごい数が自前&国内調達だった。
国立西洋美術館の所蔵作品は何度も見てきて、昨年の再オープンのときは額縁の観察に没頭したりもした。
でも今回は、「ブルターニュ」という一つの軸で鑑賞してみて、「へえ!ここがこう繋がるかぁ!!」という発見が多くあった。
素人でもこんなに楽しめるのは、やっぱり学芸員さんの企画力ってものすごいんだろうな。
大学生の時はキャンパスメンバーズで割引だったのに、、、大人になって余計に展覧会が高額に感じる。
だからこそ鑑賞の密度がめっちゃ高くなって嬉しかった。
様々な目線から見る「ブルターニュ」の地
降り立ったことのない土地を絵画を通して感じることになった今回の展覧会。
(私は酒好きなのでブルゴーニュしか知らなかった)
断崖の姿。
親子の愛情に満ちたまなざし。
荒れる海の犠牲者たち。
いろんな角度からひとつの場所を観察できたが、今回は個人的に、鮮やかな色彩が特に目を引いた。
私の中では海の画家、ドニ。
この展覧会では、「モーリス・ドニと海辺のアルカディア」というゾーンができていた。
暖かな日差しと陽気な空気感が心地よい。画面下の青年のチャーミングな表情もたまらない。
一方で、冬を描いた作品も。
例えばモネの《雪のアルジャントゥイユ》、私は大好きだ。このような冬を冬らしい色合いで描いた作品は数多くある。
冬は活動が止まる、いわばお休み、もっと言えば死の季節でもある。しんと静まり返った様子がなんだか目を引いたり、ちょっとセンチメンタルになったりもする。
でも、この《初冬の朝》はちょっと見えてきた景色が違った。希望ある朝の澄んだ空気が伝わるようで、すごく好きになった。
(公式の画質、、、!)
今回のお気に入り画家
今回の展覧会でのお気に入り画家はリュシアン・シモンだった。《ブルターニュの祭り》の左下を見ると、、、。
コミュニティのどんちゃん騒ぎに集まった人たちだが、彼らには様々なバックグラウンドがあり、毎日それぞれ違った生活を送っている。
そして十人十色の感情を抱き、それでも同じ場所に集っている。
という当たり前のようで複雑な社会。都会でも田舎でも変わらない。
そんな前提が、かえってこの子を愛おしく感じさせたりもするのかも。
この他にも、《婚礼》では、「この愛らしい後ろ姿をどうしても入れたかったんだろうな笑」みたいな、たくさんの人の中でちょこんと佇む子どもがいるなど。
子どもの後ろ姿って、どうしてこうも愛らしいんだろうね??
シモンのまなざしが気になったし、興味がわいた。
楽しかったな〜!!
今回は「土地」という軸でさまざまなテーマが設定されていて本当に楽しめた。抽象概念を扱った展覧会よりも、私には合ってるのかな、、、?
またそんな切り口で絵画も小説なんかも考えてみたくなった。
都内でもうひとつブルターニュを扱った展覧会があるが、閉幕までに間に合うだろうか、、、。