【IDと教員研修6】定番!?ARCSモデル
前回の記事では,学習目標について述べました.研修を組み立てる際のゴールを決めることです.
ゴールが決まったら,いよいよ教材や学習活動を設計することになります.
教材や学習活動を魅力的にする有名な枠組みがあります.ARCSモデルです.
やる気を引き出すヒントとなる視点
ARCSモデルは,ジョン・M・ケラー博士によって提唱された,学習の意欲に関するモデルです.面白そうだなと興味をもつことからはじまり,やってよかったなと満足するような教材設計を考えるために役立ちます.
Aは,Attention(注意)です.「面白そうだな」「なんだろう」と興味を引きつける仕掛けです.
Rは,Relevance(関連性)です.「これはやりがいがありそう」と,自分ごとにしていくための仕掛けです.
Cは,Confidence(自信)です.「できそうだな」「やれそうだな」と,自信をもてるようにする仕掛けです.
Sは,Satisfaction(満足感)です.「やってよかった」と思ってもらえるような仕掛けです.
仕掛け,と表現しましたが,ヒントであり,視点でもあるといえます.A・R
・C・Sの視点から教材を考えていくことで,意欲を換気するアイデアを練ることができます.
アイデアのタネは身近なところに
いきなりARCSで考える,ということももちろん可能ですが,まずは,「どんなものがARCSに当てはまるのだろうか」と,身近な例で考えてみましょう.
例えば,アニメのオープニング映像.第1話目であるにも関わらず,それ以降に出てくるキャラクターや,意味深な演出によって,「何が起こるのだろう」「どういう展開になるのだろう」とワクワクします.オープニングで引きつける工夫が満載ですね.
もちろん授業でも,単元の導入を工夫されている先生方は多いはずです.例えば,国語の学習で文学的な文章を読み始める際には,まずは,お話のタイトルだけを見せて「どんな物語なんだろう」と投げかけ,子供達の想像が膨らむようにします.「お手紙」「もちもちの木」「海のいのち」…どれも面白そうなタイトルですね.
上記2つは,Aの例として述べました.導入で学習に引き込まれそうな仕掛けといえそうです.
アニメの例でも,授業の例でも,R・C・Sそれぞれがありそうです.
次回からは,少し細かく,ARCSのそれぞれの場合について掘り下げて考えてみましょう.