文章のデッサン~気持ちいいもの(1)
【小説を書くこと】
小説を書くとき、私の体は楽器になる。プロットはさしずめ、楽譜だ。
その楽器が奏でるメロディにのせて、
詠うように愛を語ろう。
今書いているのは、孤独な幼年期を耐えるために、団地に理想の世界を投影させて逃げ込んでいた少女が、大人になって団地管理事務所で職に就く、という書き出しから始まる。現実は、少女の理想とは大きくかけ離れていたのだけれど、彼女の特性が、ひとりの入居者の心の琴線に触れて響きあう、というのが、プロットだ。
なぜ? どうやって?こうして、こうなったら。
この話は3話まであって、第3話には、無農薬農園で働く少年がキーマンとして出てくる。
なので、そこに行き着く前に、まず、第1話を美しく歌うのだ。
小説を書くということは、なぜという問いを掘り下げ、どのようにして、という行動の軌跡を詠う作業なのかもしれない。