冬の花舞台
冴え冴えと赤く匂へる山茶花の
花舞台なる雨上がりの道
冬は侘しい。そんな中、山茶花は冬をいろどる花…
さて、花舞台の準備が整いました。
歌ってもよし、踊ってもよし…
でも、まわりを見ても枯れ草ばかり…
おまけに曇り空…
いったい観客はどこに…
やっぱり冬はどことなく侘しいね。
いいえ、ご覧、カラスがやって来たよ、
鳩や、白鶺鴒も、
ほらあんなところから雀の兄弟が覗いている。
皆あなたの顔を見つめて、
今から始まるショーを待っている。
鮮やかに赤く咲き敷く山茶花の
散り花湿る雨上がりの道
散り落ちた花びらに
詩情を感じるか、それとも、
単なるごみに過ぎないのか…。
山茶花の咲く曲がり角を
一人静かに通り過ぎる。