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追いかけたい背中
彼はずっと憧れのヒトだった。
何をしても、何処にいても…
ひときわ目立つ彼の存在感に常に圧倒される。
神様は不公平なんじゃないか?と言いたくなる位に、見た目も中身も完璧なヒト。
彼の事をそんな風に思っていたんだ。
あの日まで…
ダンスのグループレッスン後の個人練習も終わり、着替えて帰ろうとしていた俺はレッスン室の明かりがついているのに気づいて電気を消そうと室内を確認すると…
部屋の隅で膝を抱え泣いている彼の姿を見つけた。
何故?泣いているんだろう?
今日も彼のダンスは完璧でソロパートも先生から絶賛されていたのに…どうして?
疑問に思いながらも俺は電気はそのままにして静かにレッスン室を後にした。
才能にもヴィジュアルにも恵まれた、自分とは違う世界にいるヒトだと思っていた彼の普段見せない一面を見てから俺の気持ちは憧れから恋心に変化したみたいだった。
同じグループで活動しながらも遠い存在だった彼が…
ほんの少し身近になって、彼の繊細で脆い部分を自分が守りたいと思うようになったのだ。
その為にも、俺は彼の隣に立てるようにならなければ…
彼を支えられるような存在になった時に自分の気持ちを彼に伝えたい…
そう思いながら今日も俺は…
彼の背中を追いかける。