マガジンのカバー画像

小説

16
運営しているクリエイター

#処女作

少年たちの夏が終わる、初稿

公団住宅の一部屋から父親がまず出て行く。
ドアが閉まる音。
続けて母親がドアを開ける。
見送りに出る哲也。
「あんたも東京に行くんだから、きちんとしなさいよ」
うん、小さく頷く哲也。
母親がドアを閉める、音。
母親の足音に耳をそばだてる哲也。
小さくなっていく足音。
車が止まる音。
車のドアの開閉と発車する音。
音を出さないように気をつけながら、家の鍵を閉める哲也。

家の電話で話している哲也。

もっとみる