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喫茶店でそんなに見つめないで
爽やかな日差し、コップの水に反射する光、ココアの湯気、流れるピアノの旋律。
気が付くと、呼吸が、浅くなっている。
喫茶店アレルギーを、持っている。
☕️
アレルギー発作が起こるのは、「頑張ってあの店行ってみようかな」と、決意する朝から。
もしかしたら前日から、かも。
お店の近くに来た途端に、「あぁもう帰ろうかな」と思う。もし、何もせず家に帰ったら、深く、深く、後悔するのを分かっているから、しょうがなく入る。
ここで、ことわりを入れておくと。
アレルギーは「嫌い」ではなくて、「反応」。私は喫茶店が、大好きなのです。
☕️
喫茶店に入ると、まず、どこに座るか決めなきゃいけない。案内してくれる店は、入店した瞬間、扉の音が耳に入らないと、店員が気づかない可能性があって、辛い。
足音を大きくする必要がある。
自分で選べるスタイルは、まだマシ。誰の目にもつかないところがいい。ただし、そんな席はほぼ無し。なるべく店内の大衆に背を向けられるカウンター仕立ての席へ。背中の痛みなんか、大したことない。
☕️
コーヒーが好きではないから、ココアとかアップルジュースとか頼んでしまう。
「え、ここ来て、ジュースw」
「他のとこ行けしw」
そう、思われてるかもしれない。だから謝罪の意味を込めて、人気なケーキとかパンとか買って相殺。ゆるして、と1000円札を出す。
☕️
佳境はこのあと。
携帯を触るのか、本を読むのか。
私から見た強者。イスに深く腰かけ、Bluetoothイヤホンを耳に差し込み、書籍やPCを、爽やかに開いているひと。
喫茶店が求めている客像に、見事に、当てはまっている……!!まぶしい。もう、見れない。
かたや、私は、家でも飲めるココアの湯気で、既に鼻のファンデーションが取れている。熱い。
頑張って、本を開く。
あれ、肘をつくと「私これ読んでます!」になっちゃう。
あれ、机から距離取ると「この本染みるぜ」と言わんばかりの大物感が出ちゃう。
難しい。うなだれるように、読むしかない。
「いろいろ考えた挙句、疲れてしまって、たまたまここで、本を読むことにしました」を演じる。
あれ、というか。私が読んでいる本は、そんなに文字もつらつら並んでない。「え、それ読んでんのw」なんて思わないでね今日はたまたまこの本しか持ってないのよいつもはもっとちゃんとしたの読んでるから誰も見ないで!!!!
☕️
帰るとき。
このコップらは、ここに置いたままでよいのか?
返却すべきなのか?
もし、返却するなら、コートをイスに掛けて一瞬席を外していいのか?「なんでこの席、コートあんの?邪魔~」とか思われちゃわないか?
コート着たままコップ持って、ガッシャンガラガラになる顛末ならば、もうそのまま置いていこうか。いや、人としての道理は、守りたい。
☕🍫💭
はっと周りを見渡すと、人はまばら。
自分がここにいても、いなくても、みんな「喫茶店なう」を楽しんでいる。
浅い呼吸が、少しゆるやかになる。
何事も無かったかのように、店を出て、もっと息を吸う。
なんで人間という生き物は、気にし過ぎてしまうのか。誰しも、場所や時間を問わず「気にし過ぎてしまうこと」があると思う。
きっとそれは、アレルギー。自分の心でどうにかなるものではない「反応」。
私の場合、喫茶店アレルギーは、自分で自分を見つめすぎる過剰反応。
ただいま。
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