【雑記】東京カフェ巡り#1「ミロンガ・ヌオーバ」
神保町にある喫茶店が纏う、あの重厚な空気感に分け入るたび、私は母校の国語科職員室を思い出す。薄明かりに透けて空気を踊る細かいほこりと、何だか判らない革張りや上製本の全集が観音開きのガラス窓付きの古く深い焦げ茶をした本棚にずらりと並んでいる、心地よい智の圧である。
――「ミロンガ・ヌオーバ」という奇妙な響きの喫茶店が神保町にある。ミロンガもまた、その例に漏れず、好きな要素の乗算で出来た空間だった。
老舗の気配を漂わせているのにどこか新しい空気も揺蕩っているのは、1953年創業